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教員コラム

2010.01.14 - 共生デザイン学科  共生デザイン学科 藤本憲太郎ゼミナール

もうそろそろ正月気分が抜けてきた頃でしょうか。
実は、この前書いたときもちょうど同じ頃だったような気がします。

今回はゼミについての紹介です。
共生デザイン学科のカリキュラムには、ゼミナールという名前を持つ科目が5つあります。

ひとつは、入学してすぐ学ぶことになる1年生の春学期配当の教養ゼミナール。そして3年次から始まるゼミナールⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳです。

いずれも教員1人に対し学生が10名程度の小さなグループで行いますが、前者は学生がある教員に割り振られるのに対し、後者は学生が自ら選択します。この少人数による対話形式の授業のことをゼミというのはもちろんですが、後者の場合は研究室のメンバーの一員になるというわけで、これをさしてゼミと呼ぶ場合もあります。たとえば僕のところに集まった学生諸君と教員のグループを藤本ゼミと呼んだりするわけです。

このほかに卒業研究のグループもあって、これを合わせて藤本ゼミが形成されるということになります。

ゼミナールⅠ〜Ⅳではだいたいひとつのテーマの元に、各自が調べたことを発表し、意見交換をすることでさらに理解を深めたり、資料の集め方やまとめ方さらには議論のし方を習得していきます。そして、扱うテーマも学期や年によって異なります。このあたりのやり方は、各ゼミでそれぞれ異なります。

たとえば今年の僕のゼミの場合、3年生春学期のゼミナールⅠでは、それぞれ好きな住宅を毎回ひとつ取り上げて報告するということをやりました。だいたい2週間に1回くらい順番は回ってきますから、結構忙しい。秋学期のテーマは、20世紀の3大巨匠といわれる建築家の代表的な住宅を取り上げて、彼らの建築思想の特徴とそれらが現代に与えた影響について調べようというものです。

ま、たいていの場合は、すでに目にした情報や意見が多いのだけれど、それでもたまに目から鱗が落ちるという経験をします。だから、教える教えられるというのは双方向なのだと思います(これが大学の本来のあり方に違いない)。4年生のゼミでは、行為別に、その行為の意味とそれを実現するための空間的な仕掛けの分析を続けています(カタログをつくろうというもくろみです)。

ところで、この原稿を書いている日がちょうど卒業研究の提出日でした。僕のところでは9人全員が設計を選択していて、毎年の例に漏れずぎりぎりまで、ここ数日はほぼ徹夜で模型や図面に取り組んでいたのですが、今年はゼミのすべての3年生がずっとこれにつきあってくれました(おまけに、1年生や2年生までも。これは4年生が培ってきたことのたまものですね)。

そのせいか、今年は久しぶりに一人の脱落者も出なかった。もちろん、それまでも下級生が手伝うことはあったわけですが、下級生のほとんどが10月頃から手伝い始め、全員が何日も徹夜に近いかたちでずっとつきあったということははじめてのことでした。

その主な作業場となったルツ館の製図室の雰囲気は、雑然、騒然としながらも一体感があってなかなかいいものでした。

その甲斐あって、今年の模型のできばえはこれまでよりも飛躍的によくなったようです。10日ほど後の発表会も相当期待できそうで、楽しみです。そして、何よりうれしく思うのは、3年生が自ら志願して手伝いにでかけるようになったりして、ようやく先輩と後輩の連続性(伝統!)が生まれるのではないかということです。これが続けば、来年からはきっと、さらによい作品が次々と生まれるに違いない。これこそがゼミの醍醐味だと思うのです。

藤本 憲太郎(共生デザイン学科)