MENU

教員コラム

2022.07.27 - 共生デザイン学科  8K映像制作

近年、映像機材の技術は大きく発達してきており、より高画質で低価格になって来ている。

TV放送であれば、2003年から地上デジタル放送が開始され、それまでのスタンダードサイズ(720×480画素)からハイビジョン(1440×1080画素)となった。BSは2000年からデジタル放送が開始されており、フルハイビジョン(1920×1080画素)となり、さらに2018年からは4K(3840×2160画素)と8K(7680×4320画素)での放送が開始された。ディスクメディアもスタンダードサイズのDVDから、フルハイビジョンのBlu-rayとなり、さらに4KのUltra HD Blu-rayとなっている。

フルハイビジョンと4Kを比べると、画素数がそれぞれ縦横倍になっているが、画素密度が倍になれば画面サイズは同じである。家電量販店に行くと、同じ画面サイズでフルハイビジョンと4KのTVを見比べることができると思うが、その画質の差は歴然としている。

しかし、画素数が増えれば、必要なデータ量も大きくなる。さらに、8Kはフルハイビジョンの16倍の画素数なため、画素数だけ考えても必要なデータ量や処理能力も16倍となる。

今回、社会連携センターを通じて株式会社タケエイグリーンリサイクル様のプロモーションビデオの制作依頼があり、卒業研究で映像制作を考えていた学生が制作することとなった。学生からは勉強のため業務用カメラで撮影をしてみたいとの話があった。以前から、映像機材の開発をされているアストロデザイン株式会社より、機材協力のお話を頂いており、学生さんに使ってみてもらいたいとのことであったので、先進の8K機材の協力をお願いした(写真1)。

写真1 アストロデザイン(株)にご協力頂いた8Kカメラ

 

撮影前に、アストロデザイン株式会社の2名の担当者からカメラレクチャーを受けるとともに、横須賀工場(写真2、写真3 )、富士吉田工場(写真4)、富士ヶ嶺工場(写真5)での撮影にも同行して頂き、撮影の指導を行って頂いた。業務用カメラは設定項目が多く、狙った映像になるように調整する必要があるが、指導して頂いたおかげで、スムースに撮影することができた。ただ、慣れない大型のカメラのため、撮影した映像には満足できていない部分もあったようである。

写真2 横須賀工場 ボイラーの撮影

 

写真3 横須賀工場 冷却塔の撮影

 

写真4 富士吉田工場の撮影

 

写真5 富士ヶ嶺工場の撮影

撮影した約16分の8K映像は約330GBのデータ量となった。これは、家庭用ハイビジョンカメラで約3時間半収録できる32GBのSDカードに、約1分半の映像しか保存できないデータ量である。このため、編集には処理能力の非常に高いPCが必要なことから、アストロデザイン株式会社に学生が行って、8K編集システムを使わせて頂く予定であった。しかし、コロナ禍で学外活動が行えない状況であったため、学生が自作した高性能なPCで編集を行うこととなった。それでも8Kのまま編集するのは厳しく、フルハイビジョンサイズに縮小した映像で編集を行い、完成映像を書き出す際に8K映像に差し替えるというProxy編集という手法を使うことで実現した。

完成した8K映像は、YouTubeに掲載している。YouTubeでは、視聴環境に適した画質が自動で選択されるようになっているが、右下の歯車の形をした設定ボタンから、画質を選択することができるので、「4320p 8K」を選択することで、8Kで再生できる。高速なインターネット回線と8Kディスプレイ等をお持ちの方は試して頂ければと思う。