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教員コラム

2010.05.06 - 共生デザイン学科  共生デザイン学科 山崎稔惠ゼミナール

文化としての服飾

学生たちのなかに、教室で授業を受けるときでも脱げないほど帽子好きの人を、しばしば見かけます。すると、先生は「教室のなかでは取りなさい」と注意をします。そのときは渋々取りますが、それでもつぎの週もまたつぎの週も同じようなことが繰り返されます。そこで尋ねてみると、整っていない髪を隠すためだとか、気分が落ち着くとか、なんだかいろいろ理由があるようなのです。一応、納得がゆきます。

しかしなぜ、そういわれるのか、わからないといいます。注意されるので、よくないことなんだろうな、と感じているだけ?らしいのです。
しかし、ちょっと想像力を働かせ、知識もすこし動員したなら、敬意をはらうときに使う「脱帽する」といった言葉があることや偉そうにしているときに「頭が高い」といわれること、それに脱がないまでも帽子のつばに手をかける光景をどこかで見ていることを思い出せるのではないでしょうか。
私たちは帽子にまつわる意味や感情を歴史のなかに刻んできています。

ゼミでは、服飾を文化として捉え、その内在的特質について、時代や社会のなかで、人びとがどのような感情や意識を抱いていたのかを知り考えてゆこうとしています。なぜなら、身体にもっとも近いところにある服飾の、そうした問題を扱うことがすくなからず、私たちの生きるセンスや美意識の形成を左右してゆくように思われるからです。

江戸時代の小袖模様についてレクチャーをうける学生たち(2010年4月22日撮影)

この日は『小袖模様雛形本集成』(関東学院大学図書館所蔵)をみました

山崎 稔惠(共生デザイン学科)(2010年度秋学期)
梅谷 知世(2010年度春学期)