2024.02.13 - コミュニケーション学科 施 桂栄 長崎に足を運び「和・華・蘭」文化にふれるフィールドワーク
今年度春学期で開講されたプロジェクト科目のフィールドワークを多文化の理解というテーマで長崎にて実施しました。なぜ長崎を選んだのか。その理由は、長崎では鎖国時代に日本で唯一海外に港が開かれ、さまざまな人や文化が行き交っていました。その文化交流の中でも、日本の「和」、中国の「華」、オランダの「蘭」の文化が融合し人々の生活の中に浸透しており、街の中だけでも東洋と西洋文化を同時に学ぶことができるのです。
まず訪れた場所は、横浜・神戸と並ぶ日本三大中華街のひとつである長崎新地中華街、唐人屋敷、孔子廟です。長崎新地中華街は、江戸時代中期に中国からの貿易品の倉庫を建てるために、海を埋め立てて作られたそうです。現在、東西、南北あわせて約250mの十字路に中華料理店をはじめ、中国菓子や中国雑貨など約40店舗が軒を連ねています。唐人屋敷は、密貿易とキリスト教浸透を防止するため、幕府は1689年に建設し、貿易で長崎に来航した中国人たちをそのエリアに収容・隔離し出入りを厳しく管理していました。現在は土神堂・天后堂・観音堂と福建会館の4堂のみが残されています。孔子廟は、1893年に中国清朝政府と華僑によって建造され、春秋時代末期の思想家・儒教の創始者である孔子を祀った日本で唯一の本格的な中国様式の霊廟です。年間を通じて様々な式典や祭典が行われています。
次に出島とグラバー園を見学しました。出島は、幕府によって1634年から1636年にかけてポルトガル人を管理するために、オランダ人から建築技術を学び建設された人工島であり、鎖国政策の中で唯一開かれた西洋への窓口として機能していました。現在の「出島」には江戸時代の外観や内観を忠実に再現した建物があり、江戸と西洋の文化が混ざり合う唯一無二の場所となっています。グラバー園は、1859年の長崎開港後に長崎に来住したイギリス人商人グラバー、リンガー、オルトの旧邸があった敷地に、長崎市内に残っていた歴史的建造物を移築し野外博物館の状態を呈している場所です。その中でも、旧グラバー住宅は日本の伝統的な建築技術と西洋様式が融合した、日本で最古の木造洋風建築として非常に重要な文化遺産となっています。
本研修に参加した学生からは以下のような感想が寄せられています。「長崎は多様な文化と共生することによって、唯一無二で魅力的な場所が多くありました。研修を通し、様々な文化に触れ、異文化への理解を深めることができました。」、「長崎に実際に足を運ぶことによって、現地の人々の温かさを感じることができ、中国とオランダの文化を学ぶ貴重な経験ができました。」、「日本特有の文化を守りつつ外国の文化も取り入れて今日まで発展してきた長崎は、日本だけではなく世界の手本にされるべきであると思います。次に長崎に行くときには、ランタン祭りや変面ショーも楽しみたい。」
2023年11月に本学は長崎市と包括連携協定を締結しました。これを機に、今後長崎市と連携し社会教育の学びのフィールドとして様々な実践活動を展開していきたいと思います。