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教員コラム

2008.06.05 - 共生デザイン学科  廃食用油で廃プラを分解してリサイクル

環境保全の観点から、廃プラのリサイクルが求められています。
例えば、ペットボトルの分別回収とリサイクル化が法律で決まり、
国内で実施されています。
新しい技術の開発により、廃プラのリサイクル率は
徐々に向上しています。

しかし、困った問題として、リサイクルが難しくて、
どうしても埋め立てや焼却処分しなければならない廃プラも多いのです。
例えば、ヘルメットやマネキンなどに用いられている
FRP(ガラス繊維強化プラスチック)は、
熱しても溶け難いプラスチックが使われており、
そのゴミの多くは、埋め立て処分されています。

今年7月に開かれる洞爺湖サミットのパンフレットにも、
各国のゴミを踏まえ、
「3R(リデュース、リユース、リサイクル)の議論を深める」
としっかり書かれています。

研究室では、廃プラを廃食用油中で分解して、
あまり手間をかけずにリサイクルする新しい技術を開発しています。
今回、その内容を簡単にご紹介します。

廃FRPの分解装置を図に示します。

手順として、まず反応タンクに廃FRPと廃食用油を入れます。
さらに、油の発火を防ぎ、蒸気の流れを良くするため、
反応タンク内に少量の窒素を流します。
次いで、廃食用油を300 ℃に加熱し、
1時間ほど反応させるとFRPのプラスチックは油化し、繊維は沈殿します。
この油はろ過して燃料に、分離したガラス繊維はリサイクルします。
反応で生じた蒸気を冷したタンク内に通すと
原料のフタル酸が回収できます。
フタル酸から再びプラスチックをつくることができます。

この技術を実用化するためには、廃プラをもっと低い温度で速く分解させ、
エネルギー・コストを下げなければなりません。
現在、磯子区にある日清オイリオグループと共同で
リサイクル装置(写真)の開発に取り組んでいます。

佐野 慶一郎(共生デザイン学科)