2018.12.04 - 共生デザイン学科 二宮 咲子 公園で学ぶ、農園で育つ、自然と共に生きる社会をデザインするチカラ
共生デザイン学科の二宮咲子です。環境・コミュニティデザイン分野で「エコロジカルデザイン」「自然共生社会論」「自然共生デザイン論」「ソーシャルビジネス」の講義科目と、「自然共生デザイン演習」「教養ゼミナール」「ゼミナールⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」「卒業研究」の演習科目を担当しています。私の興味・関心領域は、「自然と共に生きる社会の望ましいあり方」についてです。倫理学・社会学・法政策学と環境科学・生態学を基盤とする文理融合の学際的なデザイン教育・研究活動をおこなっています。
ところで、皆さんは「自然と共に生きる社会の望ましいあり方」について、考え、ディスカッションをしたことはありますか。「ごみをポイ捨てしない」「水筒を持ち歩く」など環境のことを“個人的”に考え、実践している人は多いと思います。しかし、“社会的”に考え、実践したことがある人は少ないのではないでしょうか。
そこで、わたしたち共生デザイン学科では、2・3・4年生が対象の「ゼミナールⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」と4年生が対象の「卒業研究」(担当教員:二宮咲子)を通して、「自然と共に生きる社会の望ましいあり方」について考え、実践する「三川公園プロジェクト」(2015年度~)と「小田原みかん農園プロジェクト」(2018年度~)に取り組んでいます。
ひとつめの「三川公園プロジェクト」のフィールドは、海老名市内・相模川沿いに広がる自然豊かな神奈川県立相模三川公園です。指定管理者のアメニス相模三川グループ(代表企業:株式会社日比谷アメニス)と関東学院大学人間環境研究所の共同研究「都市公園のコミュニティ・デザイン・センター機能およびレンジャー制度の実証的研究―神奈川県立相模三川公園をフィールドとする産学連携の試み―」(研究代表:二宮咲子)として2014年にスタートしました。これまでに「公園づくりワークショップ」「水辺の生きもの観察会」「冒険遊び・昔遊び」「減災教育キャンプ」「ジャングルDEウォークラリー」「Herb Water」「自然わくわく冒険隊」など、都会に住む子どもたちが自然に興味関心を持つきっかけとなるような自然体験プログラム開発やイベント企画プロデュースをおこなってきました。
今回2018年度の卒業研究として4年生の三浦恒平さんが開発した自然体験プログラムと、ゼミナール演習課題として3年生の加賀谷翠葉さん、鳥海さくらさん、水野創太さんを中心に企画プロデュースした「自然わくわく冒険隊~みつけて、きいて、さわって、かいで~」は、これからオープンする「自然観察園(仮称)」予定地に特別に入って、五感を使って自然を体験するネイチャーゲームです。“みつけて(視覚)”のミッションでは大きく鮮やかな黄色と黒の縞模様が目立つ“ジョロウグモ”を見つけ歩き、“きいて(聴覚)”のミッションでは川の近くで様々な鳥の声に耳を澄ませ、“さわって(触覚)”のミッションではドングリやクルミと人工物の触り心地の違いを確かめ、“かいで(嗅覚)”のミッションでは青い草や枯れた葉っぱの匂いをかぎ分けました。二宮ゼミナールの学生たちがインストラクターとして一緒にまわるため自然に慣れていないお子さんも安心して楽しめ、ミッションクリア時にはリーフレットに手作り葉っぱスタンプを押すなど、参加者の目線に近い学生ならではの工夫がとても好評でした。
また、新しく開園する「自然観察園(仮称)」に愛着をもっていただき、自然を守り育てる人を増やしていくことを目的として、“○○の森”と“○○の広場”という2つの名前づけワークシートを設置しました。“みどりくんの森”“クルミの森”や“風の広場”“みんなの広場”という名づけからも、子どもたちが五感ミッションを通じて自然を体感して愛着をもってくれたことがわかり、学生たちによる「自然わくわく冒険隊」は大成功でした。
このように、自然と共に生きる社会をデザインするチカラを身につける学修の場は、大学のキャンパスのなかだけでなく、自然豊かな公園にも広がっています。
もうひとつのプロジェクト、2018年度から取り組んでいる「小田原みかん農園プロジェクト」のフィールドは、小田原市早川地区の山林に広がる「SNOAみかん農園」です。こちらの活動も、これからの展開がとても楽しみなプロジェクトです。自然と共に生きる社会をデザインするチカラが農園で育っていく、その取り組みについては、次回の教員コラムでお伝えできればと思います。
※教員コラムに掲載の写真は関東学院大学二宮ゼミナールが大学教育・研究活動と関連する広報での使用について同意を得て撮影したものです。無断転載・使用はお控えください。