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教員コラム

2025.12.03 - コミュニケーション学科  ChatGPTという意外なティーチング・アシスタント

私は大学で、ChatGPTをどう活用できるか研究しています。流行だからではなく、これが学び方そのものを変えてしまう可能性があるからです。最初は、論文の校正や授業計画の手直しを頼む程度でした。ところが使ううちに、単なる校正者ではなく、自分の考えを押し広げてくれる共同研究者のような存在だと気づきました。
ただし、注意も必要です。心理学では「認知的オフローディング」と呼ばれる現象があります。テクノロジーに考える作業を任せすぎると、自分の思考力が弱まってしまうというものです。特に学生にはこの危険があります。けれども、うまく使えばChatGPTはヴィゴツキーの「発達の最近接領域(ZPD)」の考え方にぴったり合います。つまり、「自力ではまだ難しいが、少しの支援でできること」を広げるための足場のような存在です。
授業では、AIを“答えを出す道具”ではなく“考えるためのパートナー”として使う方法を学生に教えています。うまく使えば、頭をサボらせるのではなく、むしろ脳にジムの会員証を与えるようなものなのです。