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教員コラム

2025.05.13 - コミュニケーション学科  徒然草

「つれづれなるままに日暮らし硯に向かひて」ではじまる徒然草は有名ですが、その作者である吉田兼好が、横浜市内に住んでいたことをご存じでしょうか。
関東学院大学八景キャンパスに、最寄り駅の金沢八景駅から歩いていく場合、国道16号線で南方向に歩きますが、その途中から分岐する横浜市道環状4号線を少し入ると、上行寺というお寺があります。金沢八景駅からは歩いて10分もかからない近距離にあります。ここに、鎌倉時代の終わりごろに吉田兼好が数年間住んでいたそうです。
下に、上行事の境内と、入り口にある解説板の写真を示しますが、解説板には、「徒然草の著者吉田兼好閑居の旧跡」と、ここに吉田兼好がかつて住んでおり、金沢八景を離れて京都に帰った後に徒然草を執筆したことが説明されています。

徒然草と言えば仁和寺ですが、金沢八景には、仁和寺ゆかりのお寺があります。
金沢八景駅から、先ほどの上行事とは逆方向に10分弱進むと、龍華寺というお寺があります。龍華寺は、仁和寺の系列のお寺です。鎌倉時代の中ごろまで金沢八景周辺の土地の多くは仁和寺の領地であったため、仁和寺の系列のお寺があるのだそうです。
境内には、仁和寺から移植された御室桜という遅咲きの桜があります。ソメイヨシノよりも2週間ほど遅れて咲きます。4月には、御室流華道展という、いけばなの展示会が開かれます。
下に龍華寺の境内と、御室桜と、御室流華道展を見学した時に撮影した写真を示します。

金沢八景周辺で、桜の名所と言えば、称名寺です。先ほどの龍華寺から15分ほど北方向に歩いたところにあります。下に示すように、桜だけでなく、浄土式の庭園も美しいお寺です。
この称名寺は、鎌倉幕府において権力を握っていた北条氏の一派である金沢流北条氏が建立したお寺で、この金沢流北条氏の当主であった北条貞顕という人物は、鎌倉幕府の京都における出先機関である六波羅探題のトップを長く務めた人です。その過程で、京都の公家衆などの知識階級とのつながりが生じ、その関係で吉田兼好も金沢八景の地に住むことになったものと考えられています。

このように、横浜は、様々な歴史的な価値のある場所があります。大学への行き帰りに、ちょっと寄り道をして、こういったものを見つけてみるのも面白いのではないでしょうか。