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教員コラム

2011.12.01 - 共生デザイン学科  ネットワークから人間環境を探る

わたしは社会学の立場から「人間環境」を教えています。
社会学から見える人間環境には、家族やサークル仲間、ツイッターの広がりや口コミの効力などいろいろあると思います。

ここでは私が最近行った子育てネットワーク調査のお話をしましょう。
ネットワークといっても、ここでは通信のネットワークではなく、パーソナル・ネットワーク、つまり、一人ひとりがもっているお付き合い関係のことを研究対象としています。
ひとは家族、親族、友人、近隣、同僚・・・といった親しいお付き合いを多かれ少なかれ持っているものです。これを社会学では「パーソナル・ネットワーク」と呼んでいます。そこで、こうしたネットワークは子育てにどのように役立っているのか考えるみることにしました。

神奈川県内の都心・郊外・村落という地域別に、3歳から5歳の子供を幼稚園・保育園に通わせるお母さんたちにアンケート調査をしました。お母さんたちが「日ごろ親しくつきあっている」親戚、友人、ママ友、そしてお母さんたちにとっての実の親と義理の親が、自宅からどのくらいの時間をかけた場所に住んでいるのかを尋ねた結果が下の図です。

これは自宅を中心にしてみた場合のパーソナル・ネットワークの分布図と考えることができます。図で分かるように、都心ママ、郊外ママ、村落ママにとって、親しい人たちの配置図が、ずいぶん違っていることに気付きます。村落ママの周りには、身近なところに親しい人たちがいるのに対して、都心や郊外ママのネットワークは分散しています。このようにママたちのネットワークの実態を見える形にし、これがどのような子育てにつながっているのかを考えてゆくことができるのです。
「人間環境」とは、こうした点からも考えてゆくことができるわけです。

*上記の研究内容は、2008年から2010年までの3年間実施された科学研究費補助金交付をうけた「都市度別にみた育児期母親の育児ネットワーク・サポートと育児サービス利用の研究」の成果です。

立山 徳子(共生デザイン学科)