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教員コラム

2012.06.14 - 共生デザイン学科  カンボジアの絹織物再生に取り組む村を訪ねて

2012年3月にカンボジアの絹織物再生に取り組む村を訪ねました。
カンボジアは南アジアに位置し、メコン河流域の豊かな自然の恵みを持つ国です。しかしここは1960年代から20年にもおよぶ内戦によって、多くの人々が飢餓と虐殺により命を落とした悲劇を持つ国でもあります。内戦の混乱は人々の生活を破壊し、また国土の隅々まで地雷や戦火によって、豊かな自然を失ってきました。

【写真:伝統の森の入口】

こうした破壊の歴史により失われかけたカンボジアの伝統的な絹織物の復活をめざし、森本喜久男氏が「伝統の森」と名付けた村があります。ここでは絹織物が生まれるために必要なすべてのものが復元されてゆきました。それはすなわち、絹糸を吐き出す蚕(かいこ)、蚕の餌になる桑の木、絹糸を染める草木や昆虫、織り機の材料である竹林。。。といった自然環境の復活のみならず、蚕を育てる人、蚕の繭から糸を紡ぐ人、糸を染め上げる人、織物の文様をデザインする人、そして織る人。。。という手技を持つ人々の集団、つまりは作り手たちが安心して住める村の復活でもあったのです。

【写真:森本さんと若いリーダー】

カンボジアの絹織物の復活は、私たち人間にとって自然の恵み(自然環境)と人の営み(社会環境)の両方が共に生きてゆく上で必要不可欠なものなのだということを教えてくれるのです。
(共生デザイン学科では2012年度、フィールドスタディの授業一環として、この伝統の森を学生たちと訪問する予定です。)

【写真:カンボジアの絹織物の数々】

立山 徳子(共生デザイン学科)