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教員コラム

2010.11.25 - 共生デザイン学科  フィールド・スタディ、〜瀬戸内国際芸術祭〜

共生デザイン学科の学外実習(フィールド・スタディ)として、今年は瀬戸内海の島々を舞台とした瀬戸内国際芸術祭に出かけました。

実習の目的はフィールド、つまり現場にでかけ、今実践されている学外での活動にふれるなかで、「人間環境をデザインする」とはどういうことなのかを体験とともに考えることにあります。
今回の訪問先である瀬戸内国際芸術祭は瀬戸内海に浮かぶ7つの島を舞台としたアート・イベントです。アート・イベントといっても作品は美術館や画廊のなかに納まっているわけではなく、島という一つ一つ異なる個性をもった空間を生かし、島民の生活の場のなかに作品が置かれているというスタイルです。
<芸術祭のゲート>

島を訪れるアート鑑賞者は、島のあちらこちらに点在している作品を目当てに、船にのり、港から徒歩かバスにのり、地図をにらみ、道に迷いながら、島の中に埋め込まれた作品と対面するわけです。

<民家の壁がアートに> <伝統工芸団扇による作品>

今回のフィールド・スタディの目的は、もちろん著名な建築家による作品(地中美術館)やアート作品の鑑賞があります。
しかし見落としてならないのは、島という地域社会がこれまで経験した歴史を理解した上で、芸術祭の意味を理解することでしょう。

<島のばあちゃんの必須アイテム、「オンバ」もアート作品に> <デコ・オンバ>

なぜならいくつかの島には、島という立地条件がもたらした負の歴史をもつ面があるからです。
(たとえば、豊島の産業廃棄物の不法投棄問題、犬島精錬所の閉鎖による人口急減、また大島のハンセン病患者の隔離病棟など)

<島の風景> <古民家リニューアル>

こうした負の歴史からの復権、地域社会とアートの結びつきを理解することが今回の研修のもうひとつのテーマなのです。
「島の中のアートめぐり」はアート探しの単なるオリエンテーリングではなく、島という地域社会を理解するための仕掛けなのです。

<古布のタワー> <影もアートに・・・>

立山 徳子(共生デザイン学科)