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教員コラム

2014.02.13 - コミュニケーション学科  キャロライン・ケネディ駐日米大使

アメリカ大使館から「(2014年)5月に東京・赤坂にある館内の施設でニューヨークとのネット中継によって日米高校生による自作詩朗読の交流をしたい」ので協力してもらいたいと依頼があった。

日本側は日本語、アメリカ側は英語になるが、それぞれに翻訳された詩が中継画面にテロップで載ることになる。

このネット中継では、ただ単に自作詩の声による表現を楽しむのではなく、どちらの朗読がより聴き手に届いたかを判定したいとのこと。

これは面白いと即協力することにした。

このように判定まで行う内容にできるのは、アメリカ側がボストンにあるPoetry Slam(ポエトリー・スラム:制限時間内に詩を朗読してその内容とパフォーマンスの優劣を競う)のNPO団体が協力していることと日本側はわたしが自作朗読のトーナメントによってチャンピオンを決める「詩のボクシング」や「声と言葉のボクシング」を主宰していることによる。

写真:第3回「声と言葉のボクシング」団体戦・全国大会で準チャンピオンになった兵庫大会代表の高校生チームのパフォーマンス団体朗読

東京とニューヨークでは14時間の時差がある。日本では午前9時から始め、ニューヨークは前日の午後7時からになる。中継には最先端のネット機器を用いるのでタイムラグが気にならないとのことだが、わたしとしては、日本の高校生は朝、アメリカの高校生は夜の朗読となるので、そういった時間帯が朗読にどのような影響をもたらすのかを確かめたいと思っている。

また、人と人が対面して行うコミュニケーションの大切さを説いている一方でこういったネットを介して公開されたコミュニケーションが、どれほどの可能性を持っているものなのかも確かめたいと思う。

ところで、依頼をいただいた当初、この企画を誰が考えたのかと尋ねると、なんとキャロライン・ケネディ駐日米大使だと答えが返ってきた。担当の方は、「大使は詩に関心が強く、着任後にわたしに命じた最初の仕事は、百人一首について調べることでした」と話してもいた。

そういった面もあるのかと最近話題になっている「和歌山県・太地町のイルカ追い込み漁」について「ツイッター」で懸念を表明した気持ちの一端を理解できたように感じた。

日本のメディアでは、着任が決まる前から彼女についていろいろと報じていたが、まさかこのイベントが行われる日にジャッジとして同席することになるとは、不思議な巡り合わせに驚いている。

楠 勝範(コミュニケーション学科)