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教員コラム

2010.10.28 - 共生デザイン学科  学生が教えてくれる「学ぶ力」

夏休みも終わり、またキャンパスに賑やかさが戻ってきました。

4年生たちはいよいよ、卒業研究に本格的に取り組みはじめたところです。
ぼくのゼミの学生はどういうわけか、いつも全員が設計を選択します。本年も例に漏れず8人が全員設計を選択しました(うち4人は、設計事務所を自営する客員教授の増田先生のもとに里子に出ました)。そして、秋学期からは出稽古にやって来る学生がひとりあたらしく加わることになりました。

昨年は、ようやく学生の熱意とエネルギーと計画内容がうまくかたちに表現された作品が揃いはじめたようでした。先輩たちの作品はもちろん、他大学の学生の作品展、各地に存在する建築の見学に積極的に出かけていって刺激を受け、さらに互いに切磋琢磨した結果に違いありません。それにしても、学生たちの学ぶ力はたいしたものだと思い知らされます。今年は、さらにこれらを上回るものが出てくるだろうと期待しています。

今年の学生が決めたテーマは、地方都市における地域の活性化のための計画、美術館の新しいあり方や楽しみ方を求める計画、新しい住まい方を探ろうとする集合住宅の計画、壁(というか、さまざまなスクリーン)の重なりのもたらす効果を明らかにしてこれを計画に生かそうとする試み等々さまざまですが、いずれも、今日的なテーマです。出稽古に来ることになった学生は、何もない真っ暗な空間に穴を空けて住宅とひかりの関係を追求しようというもので、これもおもしろいものになりそうです。いっぽう、3年生はといえば、新しくフィールドを定めて、各人が決めたテーマにしたがって様々な視点から、デザインの果たしている、あるいは果たしうる役割について考えることになっています。

彼ら自身がテーマを設定しこれに熱心に取り組んで解決しようとする姿勢は、結果のみならずその過程もきっとかけがえのない経験だろうと思います。この自主的に取り組むことこそがすばらしく、ほかの何ものにも変えられない経験となるに違いありません。

実は、これは彼らだけのものではありません。漠然とした希望を持って入学してきた学生たちが、3年、4年と学ぶにつれて進むべき道を見いだし確信して、あるものは社会へ、あるものは大学院等へ進学することで自らの夢へ近づこうとする姿を見るのは、われわれ教師にとっても大きな喜びでありかつ刺激的で、醍醐味なのです。

藤本 憲太郎(共生デザイン学科)