2022.08.23 - 共生デザイン学科 山崎 稔惠 二年ぶりのゼミ学外活動
2020年2月にバスを貸し切り、箱根仙石原のポーラ美術館そして星の王子さま美術館に出かけたのが、ゼミで学外活動した最後であったと思う。その直後から新型コロナウイルスに見舞われ、日常は一変した。4月に入学した学生は登校できず、授業は慣れないオンライン。緊急事態宣言が繰り返し発令されるなかで対面指導を受けることもままならず、楽しみにしていたであろうキャンパスライフも奪われ、そうして今年2022年、かれかの女らは3年生になった。
未だ感染の収束は見えず案じられる。だが、社会経済活動の停滞が及ぼす影響は大きく、大学もこの4月からは対面授業を基本とする方針へと舵をきった。制限されていた学外活動も再開した。
感染が拡大しないうちに、学生らとすぐにでも出かけたいと思った。出向く先に選んだのは上野、東京都美術館で4月22日から始まった「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」展。芸術作品に親しみ、感性を磨くことをめざすゼミとしては、展覧会見学は定番になっている。
展覧会見学後翌週のゼミでは、心に残った2作品について各自コメントをのべてもらった。多くの学生があげたのが、つぎの3点であった。いずれもインターネット上で作品を確認できるので、ぜひ検索していただきたい。
・ディエゴ・ベラスケス《卵を料理する老婆》1618年
金属器の鈍い輝きや陶器の艶やかな質感が絵画とは思えないほどリアルで魅力的
・フランシス・グラント《アン・エミリー・ソフィア・グラント(“デイジー”・グラント)、ウィリアム・マーカム夫人》1857年
美しすぎる女性の肖像
結婚直前の娘を描いた父の娘への愛情が込められている
・フレデリック・エドウィン・チャーチ
《アメリカ側から見たナイアガラの滝》1867年
展覧会の最後に展示されていた作品で、臨場感あふれるインパクトのある絵画
水しぶきや水の流れが映像のように見えてくる
そして私が選んだのは、ジェームズ・バレル・スミスによる《エディンバラ、プリンシズ・ストリート・ガーデンズとスコットランド国立美術館の眺め》(1885年)である。2010年8月31日から9月2日、滞在していたロンドンからエディンバラを訪れたときのことが思い出されてならなかった。
コロナ禍で海外旅行も不安な状況とはいえ、有難いことに来日する海外の美術館展は目白押しである。日本にいながらにして芸術文化に触れられる機会を大切にし、学生らと共に楽しみたい。