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教員コラム

2017.02.25 - 共生デザイン学科  着物ライフ元年

全く個人的な体験です。最近、着物を着る生活を始めました。

着物と言えば、「着方がわからない」「手入れが大変」「高価すぎる」「動きにくい」。。。と、どれをとっても縁遠くなるばかりの理由がすぐに浮かびます。しかし、どういうわけか、私は若かった頃からいつか着物を着る生活がしたいと思っていました。その理由はいくつかあります。

ひとつは私自身が大学生だった頃、当時、社会学の教鞭をとられていた恩師・鶴見和子先生が毎日、着物をお召しになって教鞭を取られていたのを、ゼミでご一緒するたびに目にしていたこと。そしてもうひとつには、そもそも和柄のデザインや色使いがとても好きだったということです。またここ数年、大学の国際交流事業でカンボジアの絹絣織を再生させる村を学生と訪ねるうちに、その土地と風土、資源や技術を「まとう」「身につける」ということは、その土地や文化にとっても、またそこに生きる人間の身体にとっても極めて自然なことではないかと思うようになったことがあります。

日本の湿度の高い気候は、夏は蒸し暑く、冬は冷えやすいものです。しかし、全身を木綿や絹、麻などの自然素材で被い、冷やしてはならない腹部は帯が巻かれる着物は、寒さを寄せ付けず、一方、大きく広がった袖口や襟元からは暑さを逃がしてくれ、実に快適なものだとわかりました。

そして着物を着る行為の折目正しさは、まとう過程でも、また身にまとった後にも、身体と心をまっすぐにさせてくれるような気がしています。

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立山 徳子(共生デザイン学科)