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教員コラム

2008.11.27 - 共生デザイン学科  バルセロナの再開発地区探訪

9月上旬、国際社会学会があり、スペイン・バルセロナに行きました。
大会最終日には世界中からの都市社会学者たちがあつまり、
バルセロナの再開発地区を探訪する屋外研修ツアーがありました。

バルセロナはスペインのマンチェスターと言われたほど、紡績業で発展した都市です。
そのためかつて多くの紡績工場とそこで働く労働者の町並みがありました。
しかし、すでに紡績業はすたれ、その工場跡地が現在、再開発地区となっています。

ご覧のように街はすっかり小奇麗なインテリジェント・オフィス・ビルや
そこで働くオフィス勤務の人々のための居住地区に塗り替えられています。
一方、この再開発で高騰する不動産価格を支払えず、
立ち退きを余儀なくされる旧住民(工場労働者)による開発反対運動が今も続いています。

瀟洒な町並みには似合わない労働運動のポスターが貼られていたり、
工場の街だったことを象徴して煙突が残された場所がありました。

かつての工場が廃屋になり、広くて安いスペースを求めて
芸術家たちが住み着いている場所もあるそうです。

私たち都市社会学者のグループは、塗り替えられてゆく街並みと
そこにせめぎあう新旧住民の現状について、
歩く道々、ディスカッションしながら見学してきました。

都市は誰のためのものなのか・・・。
自由と反骨精神の都市、
バルセロナの歴史と変貌はこれからもつづいてゆきます。

立山 徳子(共生デザイン学科)