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教員コラム

2025.08.20 - 共生デザイン学科  ファッションを論じる

本コラムを読んでくださっているみなさん、はじめまして。2025年度4月より共生デザイン学科に着任した鈴木彩希と申します。

私の専門は、「ファッションスタディーズ(fashion studies)」と呼ばれる研究領域です。そのなかでもとくに、日本近代の服装を対象とした歴史的研究を行っています。もう少し詳しく説明をすると、ファッション雑誌に書かれた言葉やイメージを読み解き、和服が改良されるプロセスを追うことで、「なぜ日本人は洋服へと着替えたのか?」という疑問を明らかにしようとしています。

ファッションスタディーズとはあまり聞き慣れない言葉だと思いますが、それもそのはず。日本におけるファッションスタディーズは、最近になって確立しつつあるからです。では、そのファッションスタディーズとは一体なにか。簡単に説明すると、「ファッション」を対象としたあらゆる研究のまとまりです。つまり、社会学、美学、歴史学、哲学、文化人類学など…あらゆる学問の方法を用いて、領域横断的に「ファッション」を分析し、論じる。これがファッションスタディーズなのです。

授業では、これまでどのようにファッションが分析されてきたのかを知り、現代社会や自分の身の回りにあるファッションをどのように論じることができるのかをみなさんと一緒に考えていきます。ファッションは、私の生活や現代社会と密接に関係しています。その役割は、必ずしも個人を飾ることだけではないことを覚えておいていただけると嬉しいです。

図1:海外の著名なファッション研究者の論文が翻訳され、2025年6月に刊行されました。
ヴァレリー・スティール『ファッションセオリー:ヴァレリー・スティール著作選集』平芳裕子、蘆田裕史監訳、アダチプレス、2025年

 

図2: 鈴木が編集に携わるファッション専門の批評誌です。さまざまなテーマからファッションを考えます。
『vanitas』No. 009、アダチプレス、2025年