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教員コラム

2018.03.09 - コミュニケーション学科  春秋淹城遺跡(中国・常州市)

 コミュニケーション学科の海外教育活動の一環として、毎年学生を引率し常州大学日本語学科の学生と共同で中国文化研修を行っています。その内容の一つは常州市の南郊に位置する「春秋淹城遺跡」の見学です。

 淹城は、今から2500年以上前の春秋戦国の末期に建てられ、最も状態良く保存されている春秋時代の古城遺跡です。淹城は「三城三河」(三つの城と三つの堀)によって構成されており、内から外へ順に、内城・内堀、中城・中堀、外城・外堀となります。この建築様式は古代の都市のなかでは見られたことがなく、非常にユニークだそうです。

 この城には一体どのような人々が居住し生活していたのか、今でも定論がまだありませんが、古書『越絶書・呉地伝』(東漢時代)と『太平寰宇記』(北宋時代)の記載により、春秋時代末期「呉国」の初代王の少子「季札」の封地であるとの説が有力だと指摘されています。季札は清廉賢哲を以って知られ、孔子と名声等しく、同時に孔子の最も敬慕する聖人だそうです。「南の季、北の孔」と言われ、南方の儒学の第一人者「南方の第一聖人」と称されます。礼譲(たびたびの譲位を固辞したこと)や誠実(徐国の君主が自分の宝剣を欲しているのを知り贈ろうとしたが、すでに没していたため、墓辺に剣を掛けて心の約束を果たしたこと)などの美徳が後世に伝えられています。

 「明清看北京,南宋看杭州,隋唐看西安,春秋看淹城」(明・清時代のことを知りたいなら、北京、南宋時代なら杭州、隋・唐時代なら西安、春秋時代なら淹城を見る)ということばがあります。二千年以上前の春秋時代に現れた「諸子」(孔子、老子、荘子、墨子、孟子、荀子などの人物)と「百家」(儒家、道家、 墨家、名家、法家などの学派)、その思想や文化が今でも中国の人々の生活に多大な影響を与えています。淹城遺跡のそばには、春秋時代人々の生活や文化を再現したテーマパークが造られており、その時代の人文を体験的に学ぶことができます。

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