2015.10.08 - 共生デザイン学科 讃井 純一郎 鹿の食害
2002年、蓼科高原に、友人一家と共同所有の別荘を建てました。以来、13年間、年に数回訪れていますが、ここ数年、鹿の食害がとんでもないことになっています。下の写真は今年の春の状況ですが、ご覧のとおり、ミズキの樹皮がぐるりと一周かじりとられてしまっています。おそらくこの樹も、昨年春に被害にあった他の樹々同様、今年の冬は越せず枯れてしまう運命でしょう。
樹木の中にも、鹿の好物とそうでない樹とがあるようで、カラマツや白樺は大丈夫なようですが、ミズキやイチイ、さらには玄関前に植えたクリスマスツリー用のモミの木は、ほぼ全滅に近いありさまです。被害は樹木だけではありません。トマトやブルーベリーなどの園芸食物、さらにはユリなどの花類も、すべて鹿君の餌食となり、もはや園芸を楽しむことはできなくなってしまいました。
この鹿の食害は、別荘地だけにとどまらず、近隣の農家も大きな被害を受けているようです。蓼科高原の食害がここまでひどくなったのは、ここ数年です。これが鹿の個体数に比例していることは、ここ数年、鹿を目撃する頻度が急に高まったことからも想像がつきます。10年前くらいまでは、鹿を見かけることは年に一度あるかないかで、写真を撮ったり、「可愛い!」と後を追ったりと大騒ぎでした。しかし今や、別荘地の中でも、頻繁に鹿を目にします(下左の写真)。時には鹿よけフェンスの内側で悠々と庭木をかじっている姿を目撃することも。先日は鹿の大群にも遭遇しました(下右の写真)。別荘地から車で5分もかからない場所です。
このような状況は全国各地で発生しているようで、特に農業被害や森林生態系へのダメージは深刻な状況のようです。最近は増えすぎた個体数を抑制するために、行政による様々な対策も講じられ始めたようですが、ハンターの高齢化、食材とするには流通経路の未整備等々、なかなか効果を上げるまでには至っていないようです。
生態系は微妙なバランスの上に成立しています。このバランスが何らかの原因で崩れると、その修復はとても困難です。微妙なバランスを維持しながら自然と人間がいかに共生していくか、この問題は、共生デザイン学科の重要なテーマの一つです。今後、できれば私自身も、この鹿の食害問題に取り組んでみたいと思っています。
讃井 純一郎(共生デザイン学科)