2022.11.08 - コミュニケーション学科 佐野 予理子 広告とファン行動:学生が実施したフィールド調査の紹介
3年春学期で開講される私が担当するプロジェクト科目は、調査可能なテーマやリサーチクエスチョンを受講生ひとりひとり1から考え、様々な工夫をしながら各自フィールド調査を行います。その中で、駅に設置された巨大な広告とそこでの人々の行動に着目したフィールド調査について紹介します。
ある受講生は、『都心の大きな駅には、巨大な広告がいくつも設置されている。その広告内容が人気のアニメやアイドルのものであると話題性も高く、写真を撮る人の姿なども見受けられる。またそのような人たちをよく見てみると、写真を撮る人、動画を撮影する人、グッズを持っている人等、様々な行動パターンがある』という気づきから、広告に掲載されているコンテンツによってファン行動が異なるのではないか、というリサーチクエスチョンのもと、調査を実施しました。
実際にフィールド調査を行ったのは、①渋谷駅に設置された「BTS」アルバム発売広告、②渋谷駅に設置された「ヒプノシスマイク」3周年記念ポスター、③渋谷駅に設置された「king&prince」アルバム広告、の3か所です。
得られた成果の一部を紹介します。
広告を見た人の数は、全体としては男女合わせて①「BTS」135人、②「ヒプノシスマイク」77人、③「king&prince」138人でした。そしてこのうち、何かしらの行動が起こった割合は①「BTS」約61%、②「ヒプノシスマイク」約34%、③「king&prince」約75%でした。具体的な行動は下記に示した図の通りです。
これらの結果をふまえて、この受講生は『③「king&prince」が最もファン行動が活発である、または広告を見ることを目的としてその場に足を運んでいる人が多いのではないか』さらに、『③「king&prince」が最も活発に行動が起こっていたが、その中でも「自分も含めて写真を撮る」「グッズなどを持参する」といった行動が他の2つの広告よりも多かった。この結果から、③「king&prince」のファン層は写真やSNSへの意識が強く、広告を見に行く+SNSにそれを載せることをセットとしてファン行動を楽しんでいるのではないか』等と考察しました。