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教員コラム

2025.07.16 - 共生デザイン学科  インタラクションデザインと生成AI──“つくる”が誰の手にも届く時代に

はじめまして。このたび着任いたしました定國です。はじめてのコラムということで、私の専門である「インタラクションデザイン」についてお話ししたいと思います。

「インタラクション」とは、何かと何かの相互作用を指す言葉ですが、私の分野では、主に人間とコンピュータの相互作用、つまり「ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)」を意味します。たとえば、スマートフォンのアプリやウェブサイトの操作画面、ゲーム、VRコンテンツ、あるいは身体を使って体験する展示やインスタレーション──こうしたものすべてが、インタラクションデザインの対象です。それは単なる「操作性」だけでなく、ユーザーにとって新しい価値や驚き、発見をもたらす設計を目指す分野でもあります。

さて、これまでインタラクションデザインに関わろうとすると、どうしてもある程度のプログラミング知識が必要でした。たとえば、自分のアイデアを形にしたくても、コードが書けないと実装できない。そんな“技術の壁”が多くの人の創造性を妨げていたのです。

しかし近年、この状況が劇的に変わりつつあります。その大きな要因が「生成AI」の登場です。ChatGPTのようなAIを使えば、コードの記述はもちろん、システム設計やユーザーインターフェースの試作まで、アイデアを“つくる”ことへのハードルが驚くほど下がりました。たとえば「○○のようなアプリを作りたい」と入力すれば、必要なコードの骨格を提示してくれる。ファイル名を指定するだけで中身を自動生成してくれるケースもあります。

この変化は、インタラクションデザインの世界にとって非常に大きなインパクトをもたらしています。これまで「プログラミングができないから」と諦めていた人たちも、アイデアを具現化できるようになったからです。創造の中心が、「コードを書ける人」から「発想できる人」へと広がりつつある──これが、いま起きている変化です。

もともとデザインとは、誰かの課題や願いを形にすることです。もちろん「言われた通り」に作る場合もあれば、依頼者の本当のニーズを読み解いて再構成し、新しい提案をすることもあります。グラフィックデザインやプロダクトデザイン、インテリアデザインなど、それぞれの領域でそうした姿勢は見られますが、インタラクションデザインにおいても同じです。特に、人と技術の関係性が日々変化する現代においては、「気づき」や「問い」から始まるデザイン──つまり体験をつくるデザイン──の重要性がますます高まっていくでしょう。

参考
木のように見えるものは、左から時、分、秒をあらわしていて、時間に応じて成長するようになっています。こんなコードも、たった二回のやり取りでつくることができます。

動いている様子を見る(リンク移動後画面左上の三角ボタン(再生ボタン)を押すと実行できます)
https://editor.p5js.org/sadakuniKGU/sketches/76U-uP6Ro

ChatGPTとのやり取りの内容
https://chatgpt.com/share/686b6847-7f88-8008-96ae-4ae543a43b98