2021.04.26 - 共生デザイン学科 小林 和彦 視点の置き方
外出の難しい時期が続いていますが、菜の花と桜が近所で咲いていたので、少しだけ写真を撮影しました。
花は1年に1度、限られた期間だけ咲きます。私が写真を撮り始めたのは20年ほど前からで、その20年の間に転職などで引っ越しもしているので、神奈川で花を撮影したのは10シーズンも無い位の初心者と言えます。
そのような経験の浅い私にとっても、少し不思議に感じる光景をここ数年見かける事があります。散った桜の花びらではなく、花がそのまま地面に落ちているのです。
上を見上げると、スズメなどの鳥が桜の蜜を吸う時に、花を千切って落としているようでした。花は地面に落ちている事が多いのですが、桜の下に咲いている菜の花の上に乗っている事もありました。
私は花を撮影する時、どうすれば花の美しさを表現できるか考える事が多いです。被写体の形や色、表面の質感といった様々な要素の中から、自分が魅力を感じた部分を引き出すように撮影するのが、写真による表現方法の一つだと私は思います。
そうした経験から、写真作品を制作している学生と話をしていると「被写体のどこに魅力を感じたのかを考えながら撮る」といった話題がよく出ます。
一方で、菜の花の上に乗った桜を「菜の花と桜」という一つの被写体としてとらえると、菜の花だけ、桜だけを撮る時とは違った物の見方が出来たように思いました。
桜の花が菜の花の上に落ちたのは偶然に過ぎませんが、そうした時に新しい視点を見つけ出していく事も、デザインや表現を行う上では大切なように思います。