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教員コラム

2020.09.15 - コミュニケーション学科  コロナと不確実な世界

今年はCovid-19、通称新型コロナウィルスのパンデミックにより、世界のあり方が変わってしまいました。ニューノーマルという言葉は、すでに人口に膾炙したもののように思います。このパンデミックにより露見したことは、われわれの世界は、ますます不確実なものになりつつある、ということではないでしょうか。現代思想などでは、「ダーク」という接頭辞がついた言葉を、よく耳にするようになりましたが、これも「見通しのなさ」や「予測不可能性」、あるいは「実体のとらえなさ」などを表象しているのだといえるでしょう。そして、このような不確実性は、実は人間によってもたらされたものであることは、注意する必要があるでしょう。たとえば、近年大きな問題になりつつある、予測不可能な災害を引き起こす気候変動などは、人間の活動がそこに大きく絡んでいます。その一方で、そもそも80年代以降のグローバルな新自由主義経済は、ある種の不確実性を糧に成長して来たのであり、先進国はそういった資本主義にべったりと依存して来ました。しかし、このような新自由主義にとってさえ、包摂不可能な不確実性がCovid-19であり、だからこそ国家の力が復権して来たように見えるのだと思います。しかし、このように一見復権した国家の力は、果たして現在の危機に本当に対処できるのか。注視する必要がありそうです。