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教員コラム

2017.07.09 - コミュニケーション学科  文化の政治性を研究することの醍醐味

2017年4月よりコミュニケーション学科に着任しました、川村覚文と申します。専門は政治哲学とカルチュラル・スタディーズです。関東学院大学に来る前は、ロンドン大学ゴールドスミス校というところで修士号を、そしてオーストラリア国立大学というところで博士号を取得した後、東京大学にある「共生のための国際哲学研究センター」というところで働いていました。

私が興味を持っていることは、文化の政治性という問題です。例えば、皆さんはマンガやアニメ、あるいはアイドルやファッションといったポピュラー文化・メディア文化を日常的に受容されていると思います。今日、これらは日本という国境線を超え、世界中で親しまれています。その結果、日本という国家のイメージ戦略に利用されてしまう一方で、人種やジェンダーあるいは階級の差異を超えた相互理解を促進する基盤にもなりうるものとなっています。このように、私たちが日常的に触れる文化現象がいかに政治性を帯びるものであるかということを、哲学的・理論的に考察するのが私の研究です。

哲学的・理論的にというのは、一体どういう意味でしょうか。哲学というと、何やら難しい過去の人の考えを勉強するというイメージがあるかもしれません。しかし、ここでいう哲学というのは、世界を動かしている原理について思考するということです。文化の政治性に関する研究は、一方で様々な問題が重なりあった形で関係していることを理解しつつ、それらの重なりあいを貫いている原理が何であるのかということを分析する必要があるのです。ポピュラー文化などの日常的な文化現象の分析を通して、世界を動かしている原理について理解できるようになるというのは、面白いことだとは思いませんか?

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川村 覚文(コミュニケーション学科)