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教員コラム

2015.03.26 - 共生デザイン学科  外からみた日本文化の現在

この2月、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のEast Asian Language and Cultural Studies学科主催のシンポジウムに参加してきました。「Child’s Play ― Multi-Sensory Histories of Children and Childhood in Japan and Beyond」というテーマで、アメリカやイギリス、ドイツ、フランスなど、日本の子供文化に関する各国の研究者が集まりました。江戸時代の武士の家の子供観や、第2次大戦中に学童疎開を経験した人への聞き取り調査、さらには近年の子供を利用した自衛隊の広告戦略など、その内容は多岐にわたり、皆さん私よりも日本のことに詳しい外国人研究者ばかりでした。古文書をすらすらと読みこなし、日本の少年少女漫画にも精通していて、近年の日本研究が非常に深化してきていることを実感しました。

私は講演で、近代初期に日本に近代子供観が移植され、子供のための用品が積極的に開発される裏で、開発していた大人たちは、本当は子供のためなどではなく、彼ら自身がたわいない玩具などに熱中するマニアであったという事実を紹介し、日本ではもともと大人と子供の境界は曖昧で、子供を大人と区別しようとする西洋近代の考えが入ってきてもなお、それは生き続けていたという話をしました。これは、おそらく今日のオタク文化やカワイイ文化などにも生き続けていると思われます。

私のゼミの学生にも毎年、オタクやキャラクター文化など、自分の身近なことをテーマに選ぶ学生がいます。外から見た日本文化研究は現在、単に異国趣味の範囲を超え、私たち日本人にも新しい示唆を与えてくれるものになっているようです。

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キャンパス内にはラグーンがあり、ペリカンが   たくさんいました!

神野 由紀(共生デザイン学科)