2024.08.21 - 共生デザイン学科 淡野 哲 グループワークによる「気付き」
淡野ゼミナールでは、考えたことを具現化する課題を中心に、各々が「気付き」を得ることをテーマとして、様々な課題に取り組んでいます。近年はゼミ生の人数が多いこともありグループワークを中心とした課題によるゼミナール運営を実施しています。その概要は以下の通りです。
春学期:
ゼミナールI・III(3・4年生)合同ゼミナールとして実施しグループワークで課題を企画・制作します。3・4年生共に同じ空間、時間を皆で共有して課題に取り組みます。最初は各学年内でグループ分けをし、次第に3・4年生混成グループというように、学年での垣根を無くし協力して課題を解決する力を養います。
秋学期:
ゼミナールII(3年生)はグループ課題も続きますが、基本個別課題中心になります。春学期の経験を活かし、ゼミ生同士で情報共有をしつつ、個々の発想を具現化させます。ゼミナールⅣ(4年生)は卒業研究制作中心になります。卒業研究制作は必修ではありませんが本ゼミナールにおいては可能な限り卒業研究に取り組むこととしており、これまでの集大成としてその成果に結実させます。
ゼミナール時間外課題:
ゼミナール時間外のグループワーク課題として、本ゼミナールが所有する専用機材(3Dプリンター(熱溶解積層方式と光造形方式の2種類)、レーザー加工機、各種木材等加工機器、その他)の修得と活用を目的とした制作課題にも取り組み、習得後は各自で自由に使用制作することができます。
ゼミナールは週に1回授業(100分)として設けられていますが、それだけではなかなか実制作課題に取り組むには時間が足りませんし、考える(企画)ことと制作、両方の指導も行き届きません。そうしたことからも、3・4年生合同、2限続きで実施することにより充実した課題制作と指導を行うことができます。
またゼミナールに入ったすぐに個別制作課題では、何をして良いか戸惑い、知恵も出にくいものです。そこでまずは同学年の仲間と知恵を出し合って課題に取り組み、そして、その後3・4年生混成グループにより垣根なく親しくなることで3年生は先輩に助言を求め、4年生は後輩に教える立場になり相互理解が深まっていきます。
学生たち主体のグループワークではゼミ生各自の自主性が培われるメリットがある反面、ゼミ生の誰かにのみ負担がかかることもあり得ます。そこで、そうしたことの無い様、役割分担等については毎週「日報(実施記録)」を提出させ、私(教員)の方でしっかり監督します。
こうしたゼミナールの取り組みは、結果として大学に来る理由がゼミ生各自に生まれます。グループ内で課題に取り組むための日程調整や進め方等工夫をしてゼミ日以外の日にもゼミ室に赴き課題に取り組むことになります。こうしたことによりゼミナール自体に活気が生まれます。目的があり、活気ある場所にはワクワクがあり、そのワクワクをカタチにしていく中から思いもよらぬ「気付き」は生まれるのです。
大学は専門的な技能を得る為だけの場ではないと私は考えます。多くの学びや体験をし、各自主体的に物事に取り組む中から「気付き」は生まれます。そのことは学生各自の独創性を引き出し、他の人にはない自分だけの力を得ることにも繋がります。
AIが席捲していく現代社会において、生身の私たち人間はどうやって生き抜いていくのか、AIにはできない、または他の人には真似できない自分はどのように構築していくのか、今、そうした課題が問われています。淡野ゼミナールでは、こうした「気付き」に必要なことは何か、そのことを念頭に授業プログラムを実施しています。