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教員コラム

2020.11.12 - コミュニケーション学科  黒い画面に向かって話す

春学期の授業はすべてオンラインだった。秋学期、私が担当する科目は、主にオンライン(一部対面)で実施している。Zoomを用いてリアルタイムで講義をし、それを録画したものを閲覧できるようにしておくことで、自分の都合でオンデマンドでも受講できるようにしている。

オンライン授業によって、対面よりも明らかにやりやすくなったのは、受講生へのフィードバックだ。手書きのノートの写真を送ってもらい、それを手元のタブレットで表示したものに、タブレット用のペンで書き込みをする。書き込んでいる画面は、受講生に共有されている上、書き込み終わったファイルはすぐに受講生に送ることができる。また、Wordの校閲機能を使った添削の画面を共有してリアルタイムにそのやり方を見せたり、講義資料にペンで書き込みをしている画面を共有し、それを説明したりすることで、教室ではできなかった「投影資料に書き込みをする」ことも実現した。受け取るリアクション・ペーパーも、添削後の提出物も、良いものが提出されてきた。

しかし。

オンラインの授業では、受講生の顔が見えない。これは辛い。もともと、私は教室内をかなり歩き回っていた。スマートウォッチのセンサーで計測してみたところ、1コマで300kcalも消費していたことがあった。出席者の表情、目線、ちょっとだけ起こる笑いといったものを受け取って、それに対応する形で身振り、手振り、言葉を返しいていた。Zoomの授業では、これらが一切受け取れない。そもそも、カメラをオンにする学生がほとんどいないのだ。家庭から接続している学生が多い以上、プライバシーを考えると、カメラをオンにすることを強制はできない。ただ、黒い背景に名前が並んで表示されている画面に向かって、一人で話すのみだ。単指向性マイクを使い、声がクリアに入るように意識しながら。

Zoomのチャット機能や、メッセージングアプリの機能を使って、言葉でのフィードバックを得る試みを始めてみた。オンラインの授業でどこまで、互いのやりとりができるのか。教員側の本音も伝えながら、模索している。