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教員コラム

2014.11.06 - 共生デザイン学科  「サンシャイン・アウェアネス」という言葉をご存知ですか?

「サンシャイン・アウェアネス」という言葉は、私の恩師である乾正雄先生が紹介されたイギリス発祥の日照に関する考え方です。

■■ 「イギリスでは,ひところサンシャイン・アウェアネス(日照意識)を与える景観が話題になったことがある。これは,日照権が自分の家への陽射しを求めるのと違って,窓外の景色に陽射しのあることが快適だというのである。設備の整った現代住宅では,室内への日照は不要だし,かえって家具がくるったり,色あせたりするマイナスがある。それよりは,街路の向かい側のサンシャイン・アウェアネスを感じさせる景色を味わうほうが幸せではないかとする考え方だ」
(乾正雄(2006) 『ロウソクと蛍光灯』 祥伝社)

横浜港の船上から撮った下の2枚の写真、左の写真は太陽の方向、すなわち南向きの景観、右の写真は太陽を背にした方向、すなわち北向きの景観です。左の写真では建物の影の側ばかりが見えていて、水面こそキラキラ輝いていますが、全体的に暗い印象です。それに対して右の写真は、陽に照らされた建物が青空を背景に明るく輝いています。景観としてどちらが優れているかは明らかでしょう。

我々日本人の多くは、住宅は南に面していることが必須であると信じ込んでいますが、例えば超高層マンションのように窓からの景観が重要な意味を持つ場合、あえて南以外の方位に面した住戸を選ぶというのも、立派な選択だと思います。価格も南面住戸よりは多少安いはずですし、、、。

共生デザイン学科では、人間と環境との関わりを、このように多面的に、かつ人間を中心に考えていきます。このような学習を通じて、「住宅=南向き」といったステレオタイプな発想にとらわれることなく、「景色を大事に考えるなら北向きも有り」というようなフレキシブルな発想ができる人材を育成したいと考えています。

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讃井 純一郎(共生デザイン学科)