MENU

教員コラム

2020.05.09 - コミュニケーション学科  みんなと違う振る舞いは不安になる!?

周囲とどのような関係を築いているかが心身の健康と関連することは多くの研究が指摘しています。例えば、良好な人間関係や他者からの受容は高い自尊感情(自分自身を価値ある存在だと思うこと)と関連する一方、対人関係が乏しい人は、がんまたは心臓血管系による死亡リスクの増加と関連するだけでなく、他者からの拒絶は心理的不適応をもたらすことが明らかとなっています。

私は「ふつう」を巡る心理過程に関心があります。近年は特に自分が「ふつう」であることとストレス反応の関連について検討しています。一言で「ふつう」と言っても様々な意味がありますが、「周囲(友人)と同じかどうか」という視点で行った研究では、自分が周囲(友人)と異なる振る舞いをした場合、同じ振る舞いをした場合と比べて心理的ストレス反応が有意に高くなることがわかりました。

こうした結果は、他者との違いは心理的ストレスを高めるという点で個人に悪影響を及ぼすことを示唆しています。言い換えれば、周りの人と同じであることは、適応的な機能を持つことを意味します。ただし、ユニークでありたい欲求の程度やストレス耐性の程度等の個人差が、他者と同じである/違うことと心理的ストレス反応との関連に影響を与えることも考えられ、今後の検討課題です。

以上の研究成果は、2019年7月11日~7月13日に台北(台湾)で開催された第13回アジア社会心理学会(13th biennial Asian Association of Social Psychology)で発表しました。


学会会場「ACADEMIA SINICA」

 


台湾の代表的料理