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教員コラム

2019.09.26 - 共生デザイン学科  プロジェクト科目の取り組み

人間共生学部では3年次春学期に学生が学外に出て主体的に学ぶプロジェクト科目がおかれている。

筆者の担当するプロジェクト科目では、地域遺産の魅力を発信することを目的にプロジェクトを計画している。関東学院大学のある金沢区は、古くから景勝地として知られ、多くの地域遺産に恵まれた場所である。しかし、学生をはじめ良く知られていないのが現状である。魅力を上手に伝え、訪れてもらえるような場所にするにはどうしたらよいか、このプロジェクト科目では、そんなことを学生と考えている。

昨年度は、金沢区野島にある旧伊藤博文金沢別邸を多くの方に知っていただけるようにと、留学生を対象にした浴衣体験プロジェクトを実施した。その様子をSNSでも発信できたら、外国人の来訪者も増えるだろうとの計画だった。浴衣着付けの方法を学んだり、会場装飾を考えたり、留学生への広報をしたりと盛りだくさんで、参加した学生は達成感があったという。

今年度は、少し趣を変え、2020年のパラリンピックを少し意識し、金沢区内のユニバーサルデザインマップ作りに挑戦した。金沢区内の地域遺産が集積している3箇所、長浜地区、称名寺地区、金沢八景駅周辺地区を対象に、地域遺産へのアクセシビリティなどを調査し、地図に落した。

まず、金沢区内の地域遺産を実際に訪れ、その魅力を知ることからはじめた。学生は通学路の中にある地域遺産などを初めて訪れ、へえ、金沢区ってこんな所だったの、という発見をした。

次いで、ユニバーサルデザインマップのさまざまな事例を収集し、どのような地図を作成するか検討した。車椅子で野島の伊藤博文別邸まで行き、バリアフルな環境を実感する経験もした。

作成する地図のイメージができた後に、現地調査である。エレベーターの有無はもちろん、道の巾や傾斜、舗装の種類なども調査した。トイレの種類、文字情報が多言語対応しているか、などなどチームに分かれ調査を行なった。

その後、イラストレーターというツールを使い、地図に情報を載せていく。ツールを使えない学生は地図に入れ込む文字や写真を整理するなど、共同作業を行なった。チーム間での情報共有や、意見を出し合い調整していくことの難しさも学んだ。

地図は無事8月初旬に完成した。まだまだ、検討の余地はあるマップだが、12人の学生の魂がこもったマップとなった。