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教員コラム

2015.05.21 - 共生デザイン学科  「表現するデザイン – モノやコトを考えカタチにする」 淡野ゼミの1年

デザインにも様々ありますが、淡野ゼミは一言でいえば“ものつくりのデザイン”をする研究室です。いわゆるグラフィックやプロダクトといわれるデザインの基礎を学び、応用していく力を養います。但し、ただつくるだけのデザインをするのみの研究室ではありません。例えば、日々の暮らしの中で見失われていたり、隠れ忘れられがちなことや、もやもやとしてカタチにならないような物事をカタチにしていくことのできる眼や心を養い、本当の意味で大切なこと、必要なことは何かを考えます。こうした目標を掲げ船出をした淡野ゼミの1年を振り返り、ゼミではどのようなことをしているのかを皆さんにご紹介したいと思います。

淡野ゼミの研究室のドアには「Think.」と書かれたデザインが施されています。“考える”という意味ですが、物事を表現するにはまず疑問を持つことが大切です。淡野ゼミはそこから始まります。ゼミは3年生から配属になります。初めは基本的な製作実習をしていく中で、観察力や造形力、デザインにおける基礎知識等を身につけていきます。また物事をカタチにするためには物事をよく観知ることが大切です。大学のキャンパスを離れ、実際の表現を観に行くことも大切な蓄えになります。また実際のプロジェクトやコンペに参加する機会もあります。こうした機会は自身の作品をつくる、ということのみでは得られない他者への責任ということを学びます。そのことは社会におけるデザインワークにおいてとても大切な学びになるのです。

夏には皆でゼミ合宿にいきます。基本的にその企画に関しては全て学生たちに任せます。私が怠けているのではありません 笑。学生たちが自発自立して自分たちの学びをプロデュースする、そのことも大切なデザインワークなのです。またそのことがお互いをより切磋琢磨していく仲間として自覚することにもなるのです。ゼミ合宿が終わる頃にはこれまで以上の心の絆が生まれています。淡野ゼミでは最先端のものつくりも積極的に取り入れて、デジタルとアナログの要素をバランス良く用いることにも力を入れています。昨今人気を博している3Dプリンターも取り入れて、モノを内側と外側から考える教材として活用しています。

昨年度は淡野ゼミから初めての卒業生を送り出しました。産みの苦しみというのはこのことを言うのでしょう。私自身も試行錯誤、学生と共に長時間付き合い、何とか卒業研究、卒業制作に到達することができました。学生たちも集大成の為に何度も心が折れそうな時を経てコトをカタチにすることができました。何度共に泣いたことでしょう。そのくらい何もない中からテーマを探し出し、カタチにしていくことは難しいことなのです。それでも、それだけ大変だからこそ乗り越えた時の達成感は大きく、これから向かう社会の中でしっかりと自身の足で立ち、志高く羽ばたいていけるのだと私は信じています。

今年度もまた、出会いと別れの中でひとつひとつ学生たちと共に、表現するデザインをカタチ造っていきたいと思います。

(※写真は本文の順になっています)

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淡野 哲(人間環境デザイン学科)