港南台かもめ団地で開催された『かもめマルシェ』に参加!
佐野ゼミは、港南台かもめ団地(横浜市港南区)で年に3~4回開催される『かもめマルシェ』に参加しています。『かもめマルシェ』とは、地域コミュニティ形成を目指すMUJI×UR団地まるごとリノベーションの取り組みの一つです。
直近では、2025年12月14日(日)に開催されました。佐野ゼミは、子どもや親子連れなどを対象に、来場者全員が楽しめるような企画を考えました。縁日遊び、ストラックアウト、ボールプール、クリスマスツリー作り・ビンゴ大会と盛りだくさんな内容で好評でした。


ゼミ生の活動報告レポートの内容を一部紹介します。
3年生Hさん:
(このイベントに参加することで)様々な年齢やコミュニティで交流をすることの大切さに気づきました。また、地域住民だけでなく学生や関係者の方達も含めての打ち上げにも参加させてもらい、それぞれの視点や価値観に触れる機会になりました。そして、関わる人々が各業界、分野でどのような経験を積み、どのような考えや思いでこの活動をしているのかを聞くことができて良かったです。単なる地域支援にとどまらず多様な知識や専門性が交わっている場であり、社会課題に取り組む意義や人とのつながりを活動全体から気づくことができました。
4年生Kさん:
準備から当日までを通して感じたことは「人と関わる機会の大切さ」です。今現在はスマートフォン1つあれば外に出ずとも買い物も食事も出来てしまうような世の中です。便利といえば便利ではありますが「人間」としての機能を果たさなくなってしまうような恐ろしい世界でもあると同時に考えています。なんでも全てAIがやってくれるからこそ人間にしかできないことは何かを考える必要があり、私が人と関わることが好きな理由に、「人間だからこそ感じられる心の温かさ」というものがあります。仕事などの作業はもちろん機械やAIに任せたところで完成系はあまり変わることはありませんが、「思いやり」「気遣い」というものが加わることで満足感が何倍にも変化すると考えています。相手を思いやる一言や行動がひとつでもあることで心の温かさを感じることができると思います。この体験は実際に人と関わることでしか得られないものなので、年齢問わず少しでも外に出ることや人と関わる機会の1つになる素敵なイベントだと感じました。(中略)地域に密着したイベントだからこその人との輪を見て実際に肌で感じられる貴重な機会でした。このかもめマルシェを通して「人と関わる機会の大切さ」をどうして感じたのか、自分はどうしていきたいのかを考え見つめ直しながら社会人として歩んでいきたいと思いました。私がかもめマルシェで素敵な出会いをたくさんできた、幸せだったと感じたように、出会った方々にもそう思っていただけていますようにと感じます。また何かお手伝いできることがあれば、卒業後でも参加したいと思っています。自分の人間力の向上にも繋がる素敵なイベントでした、短い間でしたがご支援いただきありがとうございました。
「ふつう」を巡る心理学
今年度、ご縁があり『横須賀市市民大学』で「ふつう」を巡る心理学という全5回の講義を行う機会を得ました。私は20年以上「ふつう」をテーマに研究してきました。これまでに行ってきた研究を概観し、体系的に整理し、今後の展望を考えるよい機会となりました。
この講義はありがたくも多くのお申し込みがあり、抽選をおこない、受講生は88名でした。受講生の内訳は、男女比は3:7で女性が多く、年齢層は70歳代が中心(10代・20代の方からもお申込みあり)でした。また、心理学の知識のほとんどない初学者の方が多いということでした。
普段は大学生を対象に講義しているため、年配の方かつ初学者の方を対象に講義するということで講義内容や話す内容について悩みつつも楽しみに準備を進めました。まずは「ふつう」という語の多様さを紹介し、社会心理学では「ふつう」をどのように位置づけることができるのか、「ふつう」と人間関係の関連、これまでの研究の紹介等を講義で説明することにしました。
受講生の皆様は大変意欲的かつ熱心に講義を受けてくださいました。20年以上も研究しているため、たいていの質問や疑問にはデータに基づき回答できると考えていましたが、豊富な人生経験に裏打ちされた鋭い質問やクリティカルなコメントをいただき、まだまだ検討すべき事柄が多いことに気づかされました。大いに刺激を受けることができ、私の方が学ばせていただきました。
Chigasaki Organic Farmでのフィールドワーク
3年春学期で開講されるプロジェクト科目で、Chigasaki Organic Farm(茅ヶ崎市内の有機農園)にて2回フィールドワークを実施しました。フィールドワークでは、農園主へのインタビュー調査や農業体験を行いました。
履修生は、短い時間ではあるものの実際の農作業を通して、農業が大変な仕事であることを痛感した一方、雑草を抜いて爽快感を得たり、じゃがいもを収穫することで充実感を感じたりすることから、農業や自然は人々をリラックスさせたり、ストレスを低減させたりする効果があるのではないか、と考察していました。
また、農園主へのインタビュー調査では、オーガニック野菜を食べるようになり免疫が上がり風邪をひかなくなった経験や、人間関係でのストレスは少なく、とてもやりがいのある仕事であること、農業には獣害や肉体疲労があり、ポジティブな側面だけではないことを教えていただきました。さらに、農薬を使わずに手作業ですべての工程を行い、野菜を育て収穫している、有機農業の大変な労力や手間をかけることの意義についても学ぶことができました。



広告とファン行動:学生が実施したフィールド調査の紹介
3年春学期で開講される私が担当するプロジェクト科目は、調査可能なテーマやリサーチクエスチョンを受講生ひとりひとり1から考え、様々な工夫をしながら各自フィールド調査を行います。その中で、駅に設置された巨大な広告とそこでの人々の行動に着目したフィールド調査について紹介します。
ある受講生は、『都心の大きな駅には、巨大な広告がいくつも設置されている。その広告内容が人気のアニメやアイドルのものであると話題性も高く、写真を撮る人の姿なども見受けられる。またそのような人たちをよく見てみると、写真を撮る人、動画を撮影する人、グッズを持っている人等、様々な行動パターンがある』という気づきから、広告に掲載されているコンテンツによってファン行動が異なるのではないか、というリサーチクエスチョンのもと、調査を実施しました。
実際にフィールド調査を行ったのは、①渋谷駅に設置された「BTS」アルバム発売広告、②渋谷駅に設置された「ヒプノシスマイク」3周年記念ポスター、③渋谷駅に設置された「king&prince」アルバム広告、の3か所です。



得られた成果の一部を紹介します。
広告を見た人の数は、全体としては男女合わせて①「BTS」135人、②「ヒプノシスマイク」77人、③「king&prince」138人でした。そしてこのうち、何かしらの行動が起こった割合は①「BTS」約61%、②「ヒプノシスマイク」約34%、③「king&prince」約75%でした。具体的な行動は下記に示した図の通りです。

これらの結果をふまえて、この受講生は『③「king&prince」が最もファン行動が活発である、または広告を見ることを目的としてその場に足を運んでいる人が多いのではないか』さらに、『③「king&prince」が最も活発に行動が起こっていたが、その中でも「自分も含めて写真を撮る」「グッズなどを持参する」といった行動が他の2つの広告よりも多かった。この結果から、③「king&prince」のファン層は写真やSNSへの意識が強く、広告を見に行く+SNSにそれを載せることをセットとしてファン行動を楽しんでいるのではないか』等と考察しました。
コロナ禍でのプロジェクト科目実施
3年春学期で開講される私が担当するプロジェクト科目は「公園の心理効果についての調査プロジェクト」を予定していました。しかし、2020年度はコロナ禍のため残念ながら学外活動はできず、公園でのフィールドワークは実施できませんでした。そのため、「公園」という制限をなくし、調査可能なテーマやリサーチクエスチョンを受講生ひとりひとり1から考え、様々な工夫をしながら調査を行いました。工夫の1つは、実際に学外に出てのフィールドワークができないため、ライブカメラを使ったことです。
コロナ禍だからこそのテーマや自由な発想によるユニークなテーマ、人間ではなく動物に着目したテーマ等、通常のプロジェクト科目を実施していたら出てこないであろうテーマがたくさん出されました。例えば、「緊急事態宣言解除後の河原公園利用者の変化と利用目的」「日本と海外の交差点での人間の行動の違い」「ペンギンは陸と水場どちらの活動が多いのか」。ライブカメラを使うからこそ、日本と海外の比較をしたりフィールドを俯瞰で観察したり、より広範な調査を行うことができました。
「日本と海外の交差点での人間の行動の違い」をテーマに行った調査結果の一部を紹介します(図1、図2)。渋谷のスクランブル交差点とラスベガスのフレモントストリートを取り上げ比較しました。 調査を実施した学生は、“(渋谷とラスベガスの)決定的な違いは「赤信号で渡る人」のデータの割合の差である。日本の交差点では「赤信号で渡る人」の割合は「0%」だったのに対し、アメリカでは「79%」と圧倒的な差が生まれた。”、“このことが示しているのはその国の「国民性」ではないか。”、“日本人の国民性は「規則やルール遵守」、一方アメリカの場合は後方の広場に警備員がいたのだが、そのことを気にせずに「赤信号でも渡る」、警備員も赤信号で渡る人にはあまり気にしない。”と結果をまとめ考察しました。
コロナ禍ではできることがどうしても限られてしまいますが、工夫次第で可能になることはたくさんあり、より広範で充実した活動が行えることがわかった1年となりました。


みんなと違う振る舞いは不安になる!?
周囲とどのような関係を築いているかが心身の健康と関連することは多くの研究が指摘しています。例えば、良好な人間関係や他者からの受容は高い自尊感情(自分自身を価値ある存在だと思うこと)と関連する一方、対人関係が乏しい人は、がんまたは心臓血管系による死亡リスクの増加と関連するだけでなく、他者からの拒絶は心理的不適応をもたらすことが明らかとなっています。
私は「ふつう」を巡る心理過程に関心があります。近年は特に自分が「ふつう」であることとストレス反応の関連について検討しています。一言で「ふつう」と言っても様々な意味がありますが、「周囲(友人)と同じかどうか」という視点で行った研究では、自分が周囲(友人)と異なる振る舞いをした場合、同じ振る舞いをした場合と比べて心理的ストレス反応が有意に高くなることがわかりました。
こうした結果は、他者との違いは心理的ストレスを高めるという点で個人に悪影響を及ぼすことを示唆しています。言い換えれば、周りの人と同じであることは、適応的な機能を持つことを意味します。ただし、ユニークでありたい欲求の程度やストレス耐性の程度等の個人差が、他者と同じである/違うことと心理的ストレス反応との関連に影響を与えることも考えられ、今後の検討課題です。
以上の研究成果は、2019年7月11日~7月13日に台北(台湾)で開催された第13回アジア社会心理学会(13th biennial Asian Association of Social Psychology)で発表しました。

学会会場「ACADEMIA SINICA」

台湾の代表的料理
コミュニケーション・プロジェクト13 「働く人の意識や行動についての調査プロジェクト」
「働く人の意識や行動についての調査プロジェクト」では、13名の受講生を3名または4名の小グループに分け、グループごとにテーマ設定の上、レンブラントホテル厚木で働く方々へインタビューをしたり、実際に働く様子を観察したりしました。受講生の報告書をもとに、本プロジェクトの内容や学びについて簡単に紹介します。
レセプション(受付)で働く方々を対象として行った観察調査では、あるグループは観察テーマを「お客様の年代や性別によって、口調や身振り、雑談の有無、対応時間がどのように異なるのか」としました。あらかじめ「お客様の年齢が高くなればなるほど対応時間が長くなるのではないか」「男性より女性のお客様の方が対応時間は長くなるのではないか」と仮説を立てました。実際に観察してみると、お客様の年代と対応時間に相関関係は見られず、お客様ひとりひとりにあった対応の仕方をしていること、男性のお客様はスーツ姿で仕事に向かうため素早く受付を終えている一方で、女性は男性よりゆっくり受付をしていることがわかりました。さらに丁寧に接客の様子を観察していくと、スーツ姿の仕事で泊まっていると見受けられるお客様やチェックアウトだけのお客様は比較的早く対応が終わり、トイレや道などの案内をしてもらっているお客様は比較的長い時間対応してもらっており、お客様の用件により対応の仕方を変えていたということもわかりました。

観察の様子

観察の様子
インタビューは、「総務」「宿泊」「婚礼・宴会」「レストラン」「広報」の各部署で働く方々に実施しました。ホテルという同じ職場でもそれぞれ違った職種のなかで感じたことを聴くことができました。それぞれの仕事内容や魅力、やりがいなどを各職種の担当者の話を聞き、人それぞれ違った心持ちで仕事に励み、お客様によりよいひと時を過ごしてもらえるよう日々努力しているということを感じとることができました。仕事のなかでやりがいを感じる瞬間は達成感が生まれたときであること、接客業はチームワークが重要であり、計画性や段取りがうまくできる人が適していることなど、自分の個性によってどの仕事が向いているのかを改めて考えさせられました。
さらに、今後の目標を尋ねたところ、「レンブラントホテルを1番にする」という目標が共通して挙げられました。部署によってアプローチの仕方に違いはありますが、ホテル、従業員の目指すところが一致していることによってチームワークが生まれ、一体感が出てホテルをさらに大きくしていけると感じました。

インタビューの様子

インタビューの様子

インタビューの様子
最後に、本プロジェクトのフィールドワークを快く受け入れてくださったレンブラントホテル厚木に心から御礼申し上げます。
コミュニケーション学科 佐野予理子
森林セラピーでこころと身体をリフレッシュ
長野県の信濃町に「癒しの森」という森林セラピー基地があります。
森林セラピーとは、「“森林浴”の効果を科学的に解明し、こころと
身体の健康に活かそうという試み」(信州信濃町「癒しの森」HPより引用)です。
「癒しの森」で行われる森林セラピーは、特別な訓練を受けた
「森林メディカルトレーナー」と一緒に1時間~3時間程度森を歩き、
1. 自然の中で自分を見つめ直す、
2. 自然の中で適切な生活のリズムを取り戻す、
3. 自然の中に自分の癒しの場所を見つける、
の3つの目標からなるプログラムです。


森林メディカルトレーナーから植物や呼吸法等について教えてもらい、
五感を通じて森の癒し効果を実感します。例えば、葉や樹木の香りや
肌触りを感じたり、目に優しいとされる緑色を見たり、風の音・鳥の声を
聞いたり、きれいな空気を味わったり…。私たちは普段の生活では知らず
知らずのうちに時間に追われ、仕事や人間関係等で様々なストレスを受けています。
何となく疲れやすい、気持ちに余裕がない、気分が沈んでため息ばかりついてしまう。
そんな時は、信州信濃町「癒しの森」の森林セラピーをおすすめします。
森林メディカルトレーナーとともに森を歩き、森の中でお気に入りの場所を見つけて
静かに過ごしていると、こころが穏やかに落ち着き、自律神経機能が整うことでしょう。



ペーパータワー作成を通じて「社会的手抜き」を考える
グループで共同作業を行うとき、「自分ひとりくらい手を抜いてもいいか」と思ってしまうことがあります。社会心理学ではこの心理を「社会的手抜き」と呼び、様々な研究が行われてきました。結論として、グループの人数が増えれば増えるほど、ひとり当たりの作業量や努力が低下することがわかっています。なぜ「社会的手抜き」が生まれてしまうのでしょうか?どうすれば「社会的手抜き」を阻止できるのでしょうか?
グループでの共同作業の際、ひとりひとりの成果が問われないときに「社会的手抜き」が生じると考えられます。従って、グループのメンバーひとりひとりの貢献が明らかになったり識別できたりする状況では、「自分ひとりくらい手を抜いてもいいか」と思いにくくなります。
「ヒューマンファクター」という授業で、受講生に「識別性」という点から「社会的手抜き」を考えてもらいました。受講生を4人で1グループにし、ペーパータワーを作るワークを行いました。ペーパータワー作成の主なルールは、①グループで1つできるだけ高いペーパータワーを作る、②紙は折り曲げたり切ったりしてOK、③配布される紙以外の道具は使ってはいけない、④ペーパータワーは自立していなければならない、の4つです。白い紙を配布し、このルールに従ってペーパータワーを作成しました(5分間)。結果として、積極的な人や器用な人が主に作業し、その他の人は見ているだけ、というグループが多くありました。
次に、4色の異なる色の紙を配布し、再度ペーパータワーを作ってもらいました(5分間)。その際、自分が担当する色を決め、担当色の紙しか触ってはいけない、というルールを付け加えました。1回目のペーパータワー作成のときはすべて白い紙だったので自分の貢献が目に見えてわかりにくかったのに対し、2回目のペーパータワー作成では担当色が決まっているため、成果への貢献が明らかとなります。2回目は「見ているだけ」の人がほとんどいなくなりました。担当色を決めたことにより、グループメンバー全員で取り組まざるを得なくなり、結果として「社会的手抜き」が生じにくくなりました。
受講生はこのワークを通じ「識別性」の効果を実感できたように思います。これからもグループで共同作業したり働いたりする機会が数多くあるはずですが、この授業で行ったワークが共同作業をうまく進めていくためのヒントになればと思います。

佐野 予理子(コミュニケーション学科)
「ふつう」は安心!?
日常生活の中で「私はふつうだ」とか「あのときの自分はふつうじゃなかった」などと話すことがあると思います。「ふつう」という言葉からどんなイメージが浮かぶでしょうか。例えば、平均的、当たり前、ありふれている、正常、皆と一緒、個性がない…など、少し考えただけでも「ふつう」には多くの意味があることがわかります。言い換えれば、「ふつう」という言葉は人々から多様に捉えられているとも言えます。
自分を「ふつう」と思うことはポジティブな気持ちに繋がるのでしょうか。もしくはネガティブな気持ちを生むのでしょうか。当然、「ふつう」をどう意味づけるかによって心情は異なるはずですが、私はこれまで、成績が周囲と比較して同じか否かという場面や周囲と同じ行動をとっているか否かという場面を取り上げ、そのような場面で自らをどの程度「ふつう」と思うのかということとそのときに生じる感情との関連について研究を行ってきました。これまでの研究の結果から、周囲と成績が同じとき、そして周囲と同じ行動をとっているときに、自分を「ふつう」と思いかつ安心感が高まることが明らかとなりました。
しかも、これは日本人だけの傾向ではありません。日本と同様の調査を今までに中国、韓国、カザフスタン、ネパール、パラグアイ、スウェーデン、アメリカでも行いましたが、概ね日本人と同様の傾向が見られています。なお、ネパールで行った調査の成果については、10月11日、12日に奈良大学で開催された「日本グループ・ダイナミックス学会」第62回大会で発表しました。
佐野 予理子(コミュニケーション学科)