食フェアの発展性
本学の関内キャンパスには学生食堂はない。そのため、学生の皆さんは近くのコンビニエンスストアへ買いにいくか、ファストフードショップ、キャンパス内の軽食販売コーナーで日替わり弁当やおにぎりを購入することになる。中には、お弁当を持参している学生も見かけられる。
そうした中、ゼミ生たちが毎年活動のヒントをキャッチアップするために京都ゼミ合宿(2泊3日)で各大学へ取材し、そこで得た情報から食フェアを開催することとなった。キャンパス開学から開始し、もう3年目に突入することとなった。この活動では、中区に店舗を構えている飲食店にその名物料理をワンコインで提供していただくという内容である。
2年生と3年生が中心になってこの活動を実施しているが、次を引き継ぐ2年生は協力店にもWin-Winの関係になってもらわないと継続できない、ということから協力店の広報をゼミナールのInstagramで発信しようということになった。しかしながら、ゼミのInstagramアカウントのフォロワー数はまだまだ少ない。そこで、フォロワー数をどのようにして増やしていくかというテーマをもって、京都ゼミ合宿に参加し各大学へアポイントメントを自らとり、計6班に分かれて取材活動に行ってきた。
そこで、ある大学の研究室にお邪魔した班では、担当されている教員のかたから、「本当にフォロワー数を増やすだけで良いでしょうか?」と、問いを投げかけられた。つまり、数を求めるだけに集中してしまうと大切なことを見失ってしまうのでは?ということだった。「購入する学生さんの心理を考えたことはありますか?」ということである。購入する側の気持ちを考えないと、本当の意味でのリピーターを増やすことは難しいですよ、ということだ。この言葉は、ゼミ生にとって盲点だったようで合宿2日目に取材活動をまとめて各班で発表することになるが、この点を十分に検討しようということになった。
そこで春学期の各学年のオリエンテーションで購入する側の学生さんたちはどのような思いをもって購入しているのか、逆に、購入していないのか、等の質問項目でアンケート調査を実施する運びとなっている。この結果について、現在整理しているが、2026年度はどのような発展的な活動へと歩みを進めていくのか、担当教員としても関心をもって、見守っている。他大学へ行き、学びの場を拡大するというある意味「越境学習」ということになるが、大学での学びは様々な可能性を秘めていることを毎年実感させられている。
関内キャンパスの食フェアを発展的に継続的に
関内キャンパスには食堂がないため、学生の皆さんは外へ食べに行くか、学内で販売されている軽食を購入して食べる、もしくは、お弁当を持参して食している。そんな中、2年前からこのランチ問題を何とかできないか、ということでゼミ生たちが食フェアなるものを企画した。とは言え、右も左もまったく分からず何から取り組めば良いのかということになった。

そこで、地域連携や社会連携活動で積極的に取り組んでいる京都の各大学へそれぞれの取り組みを取材に行き、そこから得たヒントを元にして、この食フェアに取り組んでいこう、ということになった。その取材も今年で3年目となり、2泊3日のゼミ合宿から帰ってきたところである。食フェアを発展的、継続的に取り組んでいく班3つと新規に何か発案する班3つ、計6班が社会連携活動に取り組んでいる大学6校へアポ取りから始め、取材に行き各班から発表があった。
今年度の発表内容は、私自身が実務家出身ということもあり、そもそもこれくらいは理解し、それを念頭に置いて取り組んでいかないとつまずくよね、と懸念している事項を取材活動からほぼ100%網羅した内容で拾い上げていた。これにはかなり驚かされていて、これまでのゼミ合宿では得られていなかったビジネスの基本をしっかりと認識できていた。
さて、「発展的」と「継続的」という言葉を定義して、自分たちのコンセプト作りから着手することになるが、この3月はミーティングの予定を複数回入れており、忙しくなりそうである。次年度からの食フェアの取り組みと新規発案組の取り組み、どのような姿となっていくのであろうか。とにかく、最後までやり切ることを目指して、頑張ってもらいたい。
今どきの若者、中々大したもんです
関内キャンパスに移って来て約3ヶ月が過ぎ、ようやく過ごし方が関内キャンパス用に確立されてきた。そこで、移転以前から指摘されてきていた昼食に関する問題がより浮き彫りとなってきている。1年次の授業後に学生に昼食について話を聞いてみると、近場のファストフード店へ行くか、コンビニエンスストアで購入したものをキャンパス内の教室で食べている、とのことだった。
この昼食問題は、学生のみならず教員や職員にとってもやはり大きい。そこで、このままで良いのだろうか、ずっと不平不満を学生に抱かせたままでキャンパスライフを過ごさせて良いものか?という思いを私のゼミ生に伝えてみた。彼ら彼女たちから、この話を受けて自分たちの問題は自分たちで解決するという姿勢で、ある企画をたちあげた。この企画、そう簡単に動かすことはできない。学外の様々な方面の人たちとの連携も進めていくこととなる。「本気でこの問題に取り組んでいく?マジでそれ相当の覚悟も要るけど、本気?」というこの私の問いかけに彼ら彼女たちは無言で、でも、真剣な眼差しで全員が頷いた。それを機に、私自身が後方支援として行政(地域振興課、生活衛生課)との連携、周辺の各商店街事務局との連携を進めている。ゼミ生たちは、各グループに分かれて、門前払いをされながらもアポ取りをしながら想定以上の飲食店へヒヤリングとしてのマーケティング活動に取り組んでいる。
今時の若者は・・・という声もいろんな世代で聞こえてくるが、なかなかどうして!結構、今時の若者もできるんだってことを声を大にして言いたい。何とかして形にしていくこと、これが私のゼミナールのゴールである。


2023WBCを観てみて
3月頭から日本中で大きな声援と熱い思いが飛び交い、既に1ヶ月が経とうとしている。人が本気になって自らが先頭に立ち、行動で示すことでチームのメンバーを動かすだけではなく、その様子を観ている日本中の人々の心に熱いものをもたらした。野球ファンならずとも、かりににわかファンであったとしても、あの大谷選手の姿には老若男女問わず、心を突き動かされたのではないだろうか。言葉にすることはできても、行動に移すことはそう簡単にできるものではないが、大谷選手は高校時代から作成していたマンダラノートにこれからのことも記載していて実行してきている。つまり、目標がありそこに向けての目的意識が明確になっているということになるのかもしれない。自分はどうありたいのか?どこに向かおうとしているのか?これが自分のキャリアを考えていく上でとても大切となっていく。これが明確になっている人ほど、キャリアレジリエンスが醸成され、目の前の壁も乗り越えていくという。大谷選手のこれからの目標にはワールドシリーズで勝つと書かれているという。もう楽しみ以外の何物でもない。
就職活動支援の現場より
3年生はいよいよこれから始まる就職活動に向けて、徐々に動き出している。いち早く動いている学生は夏休み長期インターンシップに参加し、その企業から個別で選考が既に進んでいる者もいる。一般的にはこれからES(エントリーシート)などの書類選考に始まり、SPIやCAB・GABなどの試験を受け、そして、集団面接やグループディスカッション、そして、個別面接へと進んでいくことになる。
「先生!自分、面接は得意ですから!」という学生もいて、どうしてそう思うのかをたずねてみると、大体において大学のAOや推薦入試の面接で上手く話をすることができたからと回答が返ってくる。はたして大学のAOや推薦入試の面接のレベルで就職活動の面接に対応できるのかどうか。正直なところ、就職活動の面接は大学入試のそのレベルではない。もっと深掘りされ、なぜそうなのか発言する内容に対して、根拠や理由をもって具体的な体験談で説明することを求められる。そして、何よりも重要なことは就職活動の面接ではコミュニケーション力が試されている。
コミュニケーションとは何か?この場合は、言葉のキャッチボールができるかどうかということになる。逆に、暗記力は一切問うていない。それゆえ、一言一句暗記していると判断されてしまうと、企業によっては不合格となってしまうこともある。暗記したくなる気持ちは分からないでもない。しかし、企業の人事担当者は就職活動の面接ではコミュニケーションとしての対話ができるかどうかを確認しているのだ。だから、一問一答ではなく、人事担当者は1つのことを深掘りして質問したり、別の角度から質問したりすることで自分軸に沿った一貫性のある対話ができるかどうかを確認している。
コミュニケーション学科では、3年生全員を対象とした「全員キャリア面談」を11月末から12月頭に向けて実施することとなっている。プロのキャリアカウンセラー(有国家資格者)と約1時間じっくりと相談することとなっている。せっかくの機会ということもあるので、今抱えているどんな小さな悩みでも構わないので、3年生の皆さんには進路に向けての心の中を吐き出し、少しでも不安や焦りを軽減して就職活動本番に臨んでもらいたい。
コロナ禍におけるゼミ活動
2020年度コロナ禍によって春学期は全てオンライン授業となり、秋学期もオンライン授業と対面授業が混在することとなりました。ゼミナール活動も緊急事態宣言が発令されてから、様々な活動で制限が加わり、これまで準備していた計画が思うようにできませんでした。しかしながら、全く何もできなかったかというとそうではありません。活動に制限があったうえで、ゼミ生たちは何ができて、何ができないのかをZOOMというオンライン会議システムを駆使しながら、毎週木曜日にこれまでどおりに実施していたランチミーティングを開催していました。私のゼミナールでは金沢区キャンパスタウン補助金事業として採択されていた計画として「歩き方教室とフットパス※」がありますが、3密回避対策をしてもやはり実施は困難となり、その代替策としてコロナ禍で地元周辺の飲食店が困難な状況になっているのではないかということで、各店舗を紹介するデジタル新聞を発行することへとシフトすることとなりました。ただ、この場合単純に取り組み内容を変更するにも補助金事業という制約から容易に変更することはできません。金沢区へ変更願を提出し、それが認められてようやく変更できることとなっています。補助金は区民の方たちから徴収された税金であり、その大切なお金を使わせていただいているという意識をもつことはとても重要なことです。実際の取材も現地へ赴くことはできないので電話による取材を重ねており制作中となっています。また、これとあわせて昨年から続いているラグビールール教室もラグビー部員の協力ともと動画を撮影し、編集したものをYouTubeに投稿することができました。コロナ禍だからといって何もできないと諦めるのではなく、できない状況の中でも何ができるのかを皆で知恵を出し合いできるようにするためにはどのようにすれば良いのかを一生懸命考え抜くこと、これが本当に大切なのではないかということを実感させられた2020年度でした。
もしご興味があれば、こちらをご覧ください。
「ラグビールール教室」
こちらにはリーグ戦の試合の取材動画もあります。
※フットパス:「フットパス」とは、イギリスを発祥とする『森林や田園地帯、古い街並みなど地域に昔からあるありのままの風景を楽しみながら歩くこと【Foot】ができる小径(こみち)【Path】』のことです。本場イギリスではフットパスが国土を網の目のように縫い国民は積極的に歩くことを楽しんでいます。近年、日本においても様々な地域において各々の特徴を活かした魅力的なフットパスが整備されてきています。(日本フットパス協会HPよりhttps://www.japan-footpath.jp/)
一般学生と体育会学生とのコラボ
一般学生、いわゆる学生と体育会に所属している学生との間に壁があったり、授業でのグループワークなどでない限り、普段の学生生活においてほとんど交流する場がないようである。同じ19歳同士、20歳同士なのに、なぜもっと交流しないんだろうかと時々不思議に感じていた。そこで、たまたま私がラグビー部副部長という立場でもあることから、私のゼミの一般学生に働きかけ、ラグビー部との協働企画を考えてもらうようにした。2019年度はラグビーワールドカップが日本で開催されたこともあり、この波に乗れないものかという思いもあった。そこで、立ち上がった企画は、「ラグビールール教室~ワールドカップを100倍楽しくみるために~」であった。まずは、学内の食堂にある舞台のようなスペースで昼休みにラグビー部員数名と私のゼミ生たちが作成したスライドでルールを説明し、実際の動きを部員たちが演じるというものだ。ラインアウトやスクラムバッグへのタックルの実演はそれなりに迫力もあり、食事中の多くの学生たちの目を引き付けることとなった。4月に初回、5月、6月、7月と複数回実施した。最初は、ランチタイムに一体何が始まるのかといった雰囲気が漂っていたが、回を重ねるたびに観に来てくれる学生も増え、地元金沢区の後援もいただけることとなり、一般の方々も参加してくださるようになった。そして、金沢区地域振興課の職員のかたも視察に来られ、ついに金沢区公会堂でワールドカップ前哨戦のパブリックビューイングの前にルール教室を開催してほしいという依頼までいただけることとなった。100名近い観客の前でルール教室を実演できたことは参加した部員やゼミ生にとって、非常に緊張を強いられながらもやりきることができたことは大きな経験となっていたようだ。
このような一般学生と体育会学生とのコラボは他の競技でも取り組んできている。陸上部の箱根駅伝チームの学生に地元のケアプラザで「歩き方教室」を開催してもらい、さらに参加者のかたたちとフットパスを実施することも2年目を迎えた。次年度は、栄養学部の学生と一緒に協力してもらう企画も進めている。今後はさらに他の学部の一般学生を巻き込んだ学部横断的な取組みに発展できればと考えている。いろいろな壁もあるのかもしれないが、そういった困難にも立ち向かっていける意欲をもった学生たちと一緒に一つひとつ壁を乗り越えていきたいものである。


2018年度漁港祭りにおけるイベント参加「フットパス」
2018年2月24日、天気は晴れ。金沢漁港では毎年恒例の「金沢漁港祭り」が朝9:00から開催されていた。私のゼミナールではこのお祭りのイベントとして金沢漁港協同組合に承諾を得て、金沢八景駅から金沢漁港までの約1時間の道のりを一般公開イベントとして広く告知し、地元の方たちとフットパスを実施した。
朝7:45金沢八景駅に集合し、一般参加の方たちが集まってくるのを待っていた。地元の方たち7名と一般参加の学生3名の計10名で金沢八景駅を出発し、道すがら地元の方たちと触れ合いながら金澤漁港までの道を楽しんだ。
フットパスというのはイギリス発祥の活動で、Foot(足)とPath(小径)からなる言葉であるが、ブラタモリや鶴瓶の家族に乾杯を思い浮かべていただくと良い。とにかく地元を歩いて、これまで何気なく見慣れた風景から、街の魅力を再発見しようという取組である。全国700か所で既に取り組まれており、地元の魅力を地域の外へ発信することで地域創生の一環として実施されている。
今後もこの取組は継続して実施し、多くの人たちに金沢区の魅力について知ってもらおうとゼミ生一同頑張っている。





「シリコンバレーに身を置く」
シリコンバレーという地域、ご存じだろうか。米国は西海岸カリフォルニア州のサンフランシスコから南へフリーウェイで約1時間走った地域である。もしシリコンバレーという名称を聞いたことがない人でも、iPhoneやFacebookは耳にされたこともあるだろう。そう、これらの本社であるAppleの本社などIT関連の有名企業が多く、起業家を多数輩出している地域で、スタンフォード大学もこの地域にある。
私はこの地域に20年ほど前になるが、約3年間人材ビジネスで日本の関連会社から出向していた。当時はネイティブの米国人を見かけるよりも、中国人やインド人のエンジニアの方を目にする機会が多かったのではないかというくらい米国を感じない地域だった。日本にいる知人や同僚からは羨ましがられることもあったが、住むと旅行とでは大いなる違いがある。例えば、公共料金を支払う場合、日本では当たり前の銀行自動引き落としがある。もちろん米国でもその制度は当然あるものの二重引き落としが発生していた。その都度銀行に問い合わせをせねばならず、本当に面倒な作業が赴任当初は連続の日々だった。現地に長い日本人に言わせると、チェック(小切手)で支払うのが一番安全で、面倒でも請求書を発行してもらう方が良いとアドバイスをもらったものだ(それでも時々二重引き落としになっていないか、確認しないといけなかった)。
さて、このシリコンバレーに滞在していたことは、自分にとってどのような意味があったのだろう。確かに生活の便利さ、そしてよく言われる安全性は日本の方が素晴らしい。もちろん言葉の不自由さも日本はない。しかし、それ以上に得るものが多かったように振り返ってみると実感するのだ。その中でも自分に大きな影響を与えたエピソードをひとつ紹介したい。
この地域の人たちはとにかく「自分の身は自分で守る」を実践していて、必要なことは日本人のように周囲の体裁を気にすることなく取り組んでいる。そこで、このようなことがあった。所属していた企業に70歳を迎えようとするリクルーターがいた。彼は、ある時期になって終業時間の17時前になると、小脇に分厚い本を抱えてそそくさと帰っていった(管理職以上は残業するが、役職に付いていない場合は逆に早く帰らないといけない)。あまりにも続くので気になって聞いてみたのだ。
「いつも本を抱えて帰っているけど、どこに行ってるの?」
「会計のクラス(授業)をとりに行ってるんだよ」(母校スタンフォード大学)
「どうして会計?」(てっきりこの年齢から転職するのかと思った)
「仕事で必要だからさ。なんでそんなことをいちいちお前に聞かれないといけないんだよ」
必要だからやる。躊躇することなく、取り組む。この彼の姿勢は、日本人だと「そんな年齢になって今さらそんなに頑張らなくても」という声が周囲から聞こえそうだが、そんなことは一切関係なく取り組む姿に受けたショックは大きいものだった。彼の当たり前に実践している「自分の身は自分で守る」という姿勢が今の教員になる経緯に大きな影響を与えている。
必要であればなり振り構わず取り組める姿勢、50歳を超えてからの大学院での学びは自分にとってまさにそうだったかもしれない。中には嘲笑されることもあった。「何をいまさら」「そんな年になって何がしたいの?」逆にこういう声が自分を発憤させたのも事実である。結果として自分の殻を破る機会にもなった。もし本気で成長していきたいという思いがあるのであれば、必要ならば年齢など関係なく一歩踏み出してみてはどうだろうか。プラスになることはあってもマイナスになることはないように思う。ただ、それも自分の捉え方次第ではあるのだが。
道幸 俊也(コミュニケーション学科)