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教員コラム

2010.07.08 - 共生デザイン学科  共生デザイン学科 佐野慶一郎ゼミナール

「天然繊維強化プラスチックの研究」

私の研究室では、「天然繊維強化プラスチックの研究」に力を注いでおります。ドイツと日本の自動車産業では,21世紀から石油系プラスチックに天然繊維を入れた天然繊維強化プラスチックを用いた内装部品の開発と実用化が話題になっています。環境対策として、天然繊維強化プラスチックを用いる主な理由は下記が挙げられます。① 天然繊維を入れることで,石油系プラスチックの使用量を減らし,石油資源の枯渇を遅延させる。② 植物由来の天然繊維を用いた部品は,製造時の二酸化炭素排出量を計算する際,カーボンニュートラル効果が加味される。

今回、私が天然繊維強化プラスチックに興味を持ったきっかけをお話します。私が山梨県でのプラスチック・リサイクルの国際会議の実行委員として、ドイツ財団法人チューリンゲン繊維プラスチック研究所のレナート・ルッケンドルフ博士に基調講演をお願いした2006年の夏に話はさかのぼります。チューリンゲン繊維プラスチック研究所については、下記のホームページをご覧ください。
http://www.titk.de/

前述の国際会議にて、レナート博士は、世界に先駆けて「天然繊維強化プラスチックの射出成形技術」を研究していることを私に教えてくれました。以後、私は天然繊維に興味をもつこととなりました。特に、天然繊維の成分が分解し、悪臭が生じる問題がレナート博士との議論の対象となりました。現在、レナート博士と「天然繊維強化プラスチックの消臭技術」の共同開発を進めています。この研究では、ブドウ・ポリフェノール塗布による天然繊維の消臭プロセスを開発しました。詳細については、下記の関東学院大学総合研究機構のホームページをご覧ください。http://kguramo.kanto-gakuin.ac.jp/modules/news1/article.php?storyid=31

今後、環境先進国であるドイツと日本との協力と共同研究がより活発となり、その相乗効果により、世界で新たな環境技術と環境対策が迅速に実行されていくことでしょう。

 ドイツの研究所の前で(前列の向かって右がレナート博士)

佐野 慶一郎(共生デザイン学科)