教員紹介

人間共生学部教員コラム vol.118

2013.03.14  栄本 和子

文学の力

「人間とは何なのか?」、「生きるとは何なのか?」皆さんの中にも、1度や2度は、そう自問したことがあると思います。
私が担当する「イギリス文学」の講義では、イギリス文学を身近に感じてもらうために、映画化されたイギリス文学作品を扱っています。
1つの作品を理解するには、その作品が書かれた時代背景を知っておく必要があります。そこで、この講義では、イギリスの古代・中世・近世・現代の経済・政治、文化・思想の流れを確認しながら、作品にアプローチしていきます。そして、作品とその背景について、ある程度の知識を得た上で映画を観ます。

 

 

「文学」というと、なんだか堅苦しい印象を抱かれるかと思います。しかし、これをあらゆるエンターテイメント(詩・演劇・小説・映画・テレビドラマ・アニメ・CM・ダンス・パフォーマンス・音楽)まで拡大して考えたいと思います。
あらゆるエンターテイメントには、2つの側面があります。

 

 

① 文化的・社会的な規範(あまり深く考えないで当たり前と思っているような価値観)を植えつけられてしまう
② 反対に、そうした社会的規範を変更し刷新していく可能性がある

 

 

この相反する側面の2番目こそ、文学の役目だと思います。文学(エンターテイメントを含め)は、時代を先取りし時代を変えていく(矛盾を指摘する)力を持つ必要があるのです。

 

 

講義の終わりに、レポートとして、「自分や自分の周りの人間の中で感じた幸せ、不幸せ、矛盾などについて物語(小説。エッセイ・舞台戯曲・映画シナリオ・コント)」を書いてもらっています。この作業を通して、自分とは何者なのか、社会で生きていくとはどういうことなのかということが、少しずつ見えてくるかも知れないと思うからです。
デカルトの「我思う、故に我あり」や、カントの「コペルニクス的転回」(コペルニクスの「地動説」になぞらえてそう呼ばれた)による『自我』の発見と確証が人類の歴史にもたらしたインパクトは大きいものがあります。しかし、この近代的『自我』によって、現代、私たちは、自分の価値観を主張しすぎるようになったように思えてなりません。
人間が社会で生きていく上で、ルールが必要ですが、そのルールも国・民族・個人によって大いに異なります。その捉え方の相違が原因で、現在、世界を見回してもあらゆる場所で、民族同士・人間同士の闘い・争いが後を絶ちません。それぞれの主義主張をいかにコントロールし、お互いに高めあい、成熟していくのかが問われている時代だと思います。
民主主義というすばらしいシステムを持ちながら、理想とはほど遠い状況下に身をおく人間の荒くれた心を癒してくれる文学(エンターテイメント)の力を信じたいと思います。

 

 

栄本 和子(コミュニケーション学科)

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